無限の未来 13th season (ページ38)

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638話ページ38

【樹】

青「だいぶマシになったな。さすが、点滴。しんどくなったら、俺か、慎太郎」

「あーい」

さっきまで、はぁはぁと息を上げて苦しそうにしていたのに、熱も下がって、呼吸も落ち着いてきた。

とはいえ、まだ片頭痛は少し残っているみたいだし、元々の呼吸機能のこともあって、酸素は少し低め。

無理すんなよって言ったって、ファンの子の前だし、生配信。

ある程度までしかセーブもかけられないのは分かってる。

初めての生配信で、俺たちもペースとかがよく分かってないまま、男連中が好きにふざけて、回収して。

時々チラッとAが、手元のメモに“今なんて？”って書くから、やっぱりザワザワしたところだと難しいんだなって思いながら、通訳。

青「聞こえなくて困ったら、トントン。体調ヤバかったら、手握ろっか(小声)」

「んっ」

そう伝えると、何度か俺の膝がトントンとされて、コソッと大事なところは通訳する。

手を握られることはなく、慣れてきたのか、膝を叩かれる頻度も徐々に減り、Aに笑顔が増えてくる。

「ねぇ、ともぴ…ともぴーじゃないわ。山下くんに会った話したい！」

桃「あ、そうそう」

黄「俺と、こーちと、Aの3人仕事だった時に、たまたま隣になったのが、山下くんの車だったのね」

黄「そう、それで…」

Aの振った話題から、先輩たちにMVをたくさん見てもらえてる話に広がって、話題は先輩との関わりについて。

黄「Aとかさ、結構な先輩たちと、Jr.の初期を過ごしてるわけでしょ？」

「そうね。いわゆる、黄金期？ってやつかな。関西いた時は、エイトさんがずっといて、NEWSさんもJr.だったし、KAT-TUNさんも」

桃「だってJUMPさん、入所でいったらほぼ後輩なんでしょ？」

「そう。でも関西だったからね。上京した日と、裕翔くんが入所したのが同じ日。だから、東京の同期やって言うてる」

その元気はどこから出てるの？と思うほどに、生き生きと話す、ように見えるAの姿。

でも多分これは、アドレナリン。

なんとか乗り切っているだけ。

思いの外彼女の頭は冷静なようで、机の下、見えないところで力無く、俺の右手が握られていた。