無限の未来 13th season (ページ24)

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624話ページ24

呼び出された事務所の一室では、滝沢くんだけじゃなくて、なぜだか健くんもいた。

でも、今日は補聴器外しちゃってるから、別に左耳だけでも聞こえるんだけど、やっぱり手話の使える健くんがいてくれたのは、偶然だとしてもありがたい。

滝沢「ごめーん、待たせた。車？」

「…？あ…補聴器、外してる。耳鳴り、してて」

滝沢「ん？あぁ、じゃぁ…こっちの方がいいか。別に怒るわけじゃないから緊張すんな～。今日、車で、来たの？」

「…！樹くん！」

滝沢くんからのお呼び出しは、何かと思えば、MV中に踊る追加のダンス変更のことだった。

まだ少しだけ、滝沢くんの前では緊張してしまうことは本人にもバレている。

滝沢「MVで、足、使いたい」

「足？」

滝沢「細かい、ステップ。だから、先に、見てもらって、できるかな？って」

「…なるほど」

三宅［俺は、たまたま聞いたの。でもAも、できる限りやりたいでしょ？］

三宅［ただ、時間がないのも事実だから、それならAに俺が、手話しながらゆっくり教えようって］

なるほど、健くんがここにいる理由も判明した。

それから、片耳で頑張って聞いて、読唇するのは疲れるだろうからって、健くんが、簡単な、そしてストレートな手話で伝えてくれる言葉。

“お前、辞めるの？”

健くんには伝えていないし、まして誰が伝えるわけでもないと思う。

そこから、手話での会話を続ければ、不思議そうにこちらを見ているのは、もちろん滝沢くん。

だけど、何も言われないのをいいことに、覚えて間もない手話で健くんに想いを伝える。

［滝沢くんが、辞めるから、私も、辞める］

三宅［それ、本気？］

［1週間前まで、そのつもりだった］

［でも…今は、思ってない］

三宅［じゃぁ、続けるの？］

［滝沢くんを…］

“世界で一番、デカい男にするまでは、絶対に…やめない”

こんなこと恥ずかしくて、声に出してなんて言えやしない。

今日ばっかりは、手話を覚えて使えるようになった自分と、教えてくれた健くんに心から感謝。

滝沢「そろそろ、話伝わった？」

何話してたの？って、しつこく聞かれたけど…

三宅「俺とAの…“秘密”」