無限の未来 13th season (ページ22)

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622話ページ22

【高地】

黄「交代するよ」

黒「ん。酸素は…つけっぱなしだけど、そろそろ外してもいいかも。熱が下がんなくて…」

黄「ん。わかった、ありがとね」

家に帰ってから、ずっと北斗がAについててくれたんだけど、なかなか戻らない体調。

3日後にはMVの撮影が入っているし、なんとかそこには間に合わせたいところ。

とはいえ、まだ充分に完成しきっていないダンスの練習もしたいだろうし、本人は焦ってると思うけど。

黄「A、起きてる？」

「んっ。こち…ｯﾊｧ…」

黄「酸素外す？下がらなければ外しておこっか…ん。お、いいじゃん。外せそうだけど？」

「こちぃ、足…だいじょぶ…？」

黄「あら、ご心配ありがとう。樹がマッサージしてくれて、マシュマロくらい柔らかくなったから大丈夫」

ダンス練習の終わり、マッサージをしてくれた樹の残した言葉をそのまま言ってみれば、クククっと含んだように笑っていた。

おでこに手をやれば、まだ少し熱を帯びていて、この熱にしては、思ったより元気そうで安心する。

黄「しんどくないの？」

「熱は、副作用で、散々慣れとるから」

黄「嬉しくない慣れだな」

「ﾝｯ…」

黄「苦しい…？ん、ゆっくりね…大丈夫、すぐ落ち着くからな…」

それまで笑ってたAの顔が歪んで、腕を取れば、いつもよりだいぶ脈が速い。

かと思えば、しばらく落ち着いて、また速くなることを繰り返して、数分すれば腕から伝わるリズムも落ち着いてくる。

先程と違って、じんわりと汗ばんだ熱い背中が、表情に表れないAのしんどさを伝えてくれる。

黄「我慢しないで、言っていいんだからな？」

「ん…。ちょっと、苦しい…かも」

黄「ちょっと待ってね、クッション入れるわ…よし、いいよ」

「さすがに…今日は、ﾋｭｰｯ、ハードだった…ﾋｭｯ…」

黄「ありゃ。ゼロゼロしてんな。明日はお家で4人でゆっくりしよっか。動画見るとか、踊らなくても練習方法はいくらでもあるから」

コホコホと乾いた咳が出てきたAの背中を撫でながら、ダンスのことが負担にならないように、そんな提案すれば、“高地は練習しなきゃ”って、途切れ途切れにツッコマれた。