無限の未来 13th season (ページ18)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:78,312 hit

618話ページ18

【北斗】

いいよ、って言われて、もう一度戻った部屋。

まだ滝沢くんの胸で、ワンワン泣いているA。

滝沢「頑張るって。頑張るけど、もうちょっとだけ、こうさせてあげて」

結構な時間、Aと滝沢くんは2人で話していた。

滝沢くんの優しい表情と、思いっきり泣けているAの姿を見て、きっとしっかり吐き出して、ちゃんと感情と向き合って…ようやくAも納得できたのかなって。

「がん、がんっ、ばるっ…から、ｯﾊｧ」

黒「ん？ゆっくりでいいよ…ゆっくり、教えて？」

「がん、ばるっ…！ｯﾊｧ、じむ、しょ…辞め、ないっで、ﾊｧｯ…がっ…がんばるっ、から…」

黒「A…」

辞めないって、その言葉がAの口から聞けただけで、十分だった。

“7人じゃなきゃ、意味がない”

ジェシーの言葉が、もう一度頭に浮かんだ。

7人でいるから、最強のSixTONESでいられる。

ライブの時と同じように、一人ひとり気合い入れをして、もう一度打ち合わせに臨む。

でも、1人だけ違ったんだ。

“パシンッ！”

少しだけ静かな部屋に、気持ちいいくらいに響く、乾いた破裂音。

音を発したのは、樹の手。

Aの頬を、叩いた音だった。

青「俺らの前から…二度といなくなろうとすんな。頼むから…。何があっても、絶対…俺らから離れんな。お願いだから…」

誰よりも強くAを抱きしめた樹は、泣いていた。

樹の胸に閉じ込められているAの表情は見えないけど、恐らくこちらも同じような表情をしていることだろう。

俺の背中についてこいと、滝沢くんにそう言われて、まだ幼いまま、一人親元を離れたA。

滝沢くんにも、Aにも、お互いに特別な想いがあったはずだ。

もちろん、そこまで理解してやることなんて到底できないけど、ついてこいと、力強く引っ張ってくれたその背中が突然消えるのだ。

滝沢「Aにも伝えたけど…俺が道標になる時代はもう終わり。だから、次は、ジェシーが、大我が、北斗が、高地が、慎太郎が、樹が…Aが。SixTONESが“道標”になっていく番だから」

頼むぞ、と言われ交わした拳は、まだまだ到底追いつかないくらい、デカかった。