無限の未来 13th season (ページ14)

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614話ページ14

【高地】

黄「そんなに動くことはないけど、無理すんなよ？」

「うん、ありがと」

足の痛みはだいぶ治まったみたいだけど、体力的にはかなり消耗されたみたいで、心なしかフラフラしているA。

アーティストプロモ用の写真撮影。

これまで何度だって写真を撮られまくってきた俺らだけど、やっぱり特別な感じはする。

ス「Aちゃんは？どの衣装がいいかな？」

「ボトムス、オーバーサイズでいいですか？」

ス「スカートもあるけど、どうする？」

「あ…これがいい。どうかな、高地ぃ」

Aが選んだのは、左側だけが少し長めの黒いロングスカート。

裾には赤い小花があしらわれていて、黒をメインに置いた俺たちの中に入るとより一層キレイに映えそうな衣装。

でもそれは、ダンスのない写真撮影のみとはいえ、普段のAなら絶対に選ばない衣装。

スカートは、どうしても微妙に足が出てしまうから、無意識のうちに避けてたんだと思う。

黄「キレイだよ、大人っぽい」

俺も普段そんなこと口にするタイプじゃないから、“高地らしくないコメント”なんて言いながら、恥ずかしそうに顔を赤くしていた。

続々とやってくるメンバーが、みんな驚いたようにスカート姿のAを見る。

桃「かわいいやん！」

緑「うん、いい！俺たちと合わせたら、もっとキレイになりそう！」

「みんながそんなに絶賛してくれるんやったら、これにしようかな」

メイクに行っていたAが帰ってくれば、真紅の口紅が、その大人っぽさをさらに強くしていた。

カッコいい、それでいて妖艶な…

黄「別人みたい」

「んー？」

黄「顔と合わない声出すのやめろよ、お前」

「なにそれ～」

撮影が始まっても、俺たちは急に大人っぽくなったAに慣れなくて、ちょっとドキドキ。

「えー？初めての雑誌撮影？んー、あの頃私まだ関西やったからなぁ。あ、あっくんと撮ったの覚えてる」

「あっくんに肩車されて撮ったんやなかったかな？」

楽しそうに昔を思い出しながら、合間のインタビューに答えるAは、俺の知らない、ずっと前の過去を思い出していた。

その横顔が儚く見えたのは、気のせいだったかな。