540話 ページ40
【高地】
「なんか…色々上手く進みすぎててちょっと怖い」
黄「えー？」
ジャニーズJr.祭りの合同公演は、成功したと言っていいだろう。
3月には追加公演も決まり、横浜アリーナの舞台に立つことができる上に、今回は単独公演もある。
それに、前々から徐々に進んでいた“YouTube”への進出も、次第に固まりつつあるらしいと聞いた。
その話し合いで、7人で撮影を兼ねたご飯に行くことも決まっている。
「マジで、ほんまに好きなことやっていいの？」
黄「らしいよ！」
「てかさ、全員でご飯行くのは久々やない？何人かではいつも行っとるけど」
黄「確かに。みんな、忙しかったしなぁ」
Aは治療の兼ね合いもあるし、大我は絶賛舞台の主演期間で忙しくしている。
月末には単独公演が決まっているものの、地方での公演が忙しく、ほとんど顔は合わせられない。
「Aも、早く忙しい理由が…治療じゃなくて仕事になったらいいな！」
黄「そだね」
「もうすぐね、5年経つの。左足切ってから。色々あったけど…今、楽しい。多分、あの選択は、間違ってない」
YouTube、やりたいこといっぱいあるなぁって、楽しそうに、いたずらっ子の顔をしながら、東京に帰る支度を進めるAを見て、この5年を思い出した。
こいつは何度も泣いたし、何度も悔しい思いをした。
今だって、苦しみながら、なんとか耐えているところも少なくはない。
黄「変わらずにいてほしい。Aは、Aのままでいてほしい」
「んー？」
黄「7人で、この7人で、世界目指そう」
「…うん！YouTube、もってこいだね！」
世界を目指す、なんて言葉が自分の口から出てくることを、あの頃の俺は想像できていただろうか。
こんなこと、恥ずかしげもなく、堂々と胸張って言えるようになったのは、間違いなく、SixTONESで積み上げた時間のおかげだ。
また一歩、俺たちは夢に向かって進んでいる。
もちろん、この7人で。
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年12月15日 20時
