無限の未来 11th season (ページ19)

今日:10 hit、昨日:18 hit、合計:87,737 hit

519話ページ19

【北斗】

今のAは、運動に誘発されてアレルギーがひどくなる可能性も高い。

特に誰に言うでもないけど、袖にはエピペン、ネブライザ、なるべくなら使うことがあっては欲しくはないけど、酸素吸入器。

全てを出し切った、たった一曲のステージ。

フラッフラになりながらも、なんとか気力だけでステージを乗り切ろうとしているのは、同じ舞台に立っている中で十分に伝わってきた。

緑「Aっ！！！！！！ほ、ほくとっ！」

黒「A？Aー？聞こえるー？っと、急に起きるなって、大丈夫だから」

緑「大丈夫なの…？」

黒「うん、反応あるし、呼吸も…まぁ浅いけど、想定内。A、マスクだけつけるよ～」

吸入だけさせれば、徐々に呼吸も落ち着いてきてはいるし、本人は痒い痒いって言ってるけど、汗を拭きとって冷やしてやれば、落ち着きそうな感じ。

それよりもやっぱり、この舞台裏の暗さと、少しひんやりとした空気の方が、どこか心地悪そう。

そんなAを、ヒョイっと抱き上げたのはジェシーで、その足は明るい楽屋へと向かっていた。

黒「んー、、熱いね…。A、熱い？寒い？」

「んっ、さむ…い…っｹﾞﾎｯｹﾞﾎ」

黒「風邪ひいたかなぁ…？」

「ほっく…ｳｯ」

俺の名前を呼ぶ方に目を向ければ、さっきと打って変わって、真っ青な顔をするA。

小さな手が必死に口元を覆っていて、焦る焦る。

と、勢いよく戻した中に、消化されていないフルーツ類がいくつか…。

黒「なんで黙ってた………」

「大…先輩、やし…ｯﾊｧ、断れんくて…その…ｳｯ」

黒「バカかお前はっ！」

聞けば、明日からステージを共にする東山さんからの差し入れだったフルーツタルトを、勧められるがままに食べてしまったみたいで。

体調が悪い時は、絶対に食べないようにしているキウイフルーツなのに。

治療と疲労とでAの免疫がおかしくなってしまっている今、またちょっと、新年も迎えることだしお説教しないとかな。

って、そんなことを思った。