443話 ページ43
【北斗】
最近、樹の帰りが遅い。
大方、そんな姿をAに見せたくがない故に、家で飲まずに一人でどこか飲み歩いてるんだろう。
タバコも然り。
喘息持ちで、肺の切除もしているAの前では、家どころかベランダでさえ吸わない。
いっぱいいっぱいの中でも、どこか無意識に他人を気遣ってしまうのは、樹の性格上、仕方ないのかもしれない。
“ｶﾁｬﾝ”と控えめに扉の閉まる音がすれば、しばらく玄関で俯いた樹が、座って頭をリセットしているのも、最近では慣れた光景になってしまった。
そんな樹が、それでも決して欠かさないのは、Aの部屋を覗いてからリビングに戻るルーティン。
ぐっすりと眠るAの頭を、安心した顔で優しく撫でる樹のその表情に、少しだけ胸が苦しくなる。
黒「おかえり。寝てた？」
青「おう。ぐっすりだった」
黒「そ。明日、早いよ。8:00だって」
青「さんきゅ」
次の日も、また次の日も、樹は遅くに帰ってきて、稽古場でしか顔を合わせないような日が続いた。
稽古場で顔を合わせる樹は、特段変わった様子もなくて、ほかのグループの奴らとふざけたり、後輩たちと遊んでたり。
いつもと違うのは、お嬢をあまり寄せ付けないようにしてることくらい。
黒「寄せ付けないために、吸ってんの？」
青「吸わねぇのに入ってくんなよ。体に毒だべ」
黒「そっくりそのまま、お前に返してやるよ。もう辞めとけば？また辞めるの大変だぞ…とも、簡単には言えねぇな。今の樹には」
なんだよそれ…って笑いながら煙を吐き出す樹の横顔は、ぐっすり眠るAの頭を撫でていた時と、同じ顔をしていた。
黒「樹？俺は、お前のいないSixTONESなんて…やだかんな」
それだけしか伝えられなかったけど、それだけ伝えられたら、十分伝わると思ったんだ。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます！ (2020年11月10日 20時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2020年11月10日 18時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年11月9日 16時
