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【慎太郎】
お見舞いに行くと、彼女はいつも笑ってた。
彼女が院内学級へ転校してからも、まだ若かった俺は“一度関わった生徒はいつまでも俺の生徒”なんて、ドラマに出てきそうな言葉を本気で思っていた。
もちろん、今でもその想いは持ち続けているけど。
嶺亜「あいつさ、小学校の時…あんまり上手くクラスに馴染めてなくてさ。担任とも上手くいかなかったりして、不登校気味だった。…学校にいい思い出なかったんだ」
緑「えっ…そんな感じ全然…」
嶺亜「あー、いや。完全に先生のおかげ。ほら、俺がこんなじゃん？だからあいつ、比べられてたんだよ色々。本当は、あいつだってすごいとこ沢山あったんだけどね」
愛おしい妹を思っては優しい表情を浮かべて、“あいつが自分を好きになれたのは、森本先生のおかげ”だなんて。
俺なんて、彼女に何かしてやれたわけじゃないよ…って、そんな風に思うけど。
緑「“森本先生が、シュートのフォームが綺麗だって褒めてくれたんだ！”って、すげぇ嬉しそうに帰ってきた日があってさ。元々普通にバスケめっちゃ上手かったんだけどさ…あいつはあの日以来、努力の天才になった」
“病気のせいで奪われちゃったけど…”って、今度は悔しそうに俯いた嶺亜。
中村は、お見舞いに行く度痩せ細っていった。
“食べること、大好きだったのに…食べられないのが辛い”
そんなことを俺にこぼしたこともあった。
だから、病気が治ったら同窓会でもしようなって約束をしたらなんかもした。
好きなもん、たらふく食わせてやるから覚悟しとけって言ったら、彼女は“じゃぁ森本先生の財布すっからかんにするほど食べてやる”ってケラケラ笑ってたっけ。
嶺亜「先生、俺ね…本当は、適合してたんだ。移植、俺ができたはずだったんだ…」
緑「えっ…」
嶺亜「でもね…させてもらえなかったんだ」
嶺亜の悲しそうな目は真っ黒に染められて、何を映しているのかわからなかった。
戸惑う俺も多分彼の目には映ってなくて、ただ淡々と彼が話す感情のない声が、俺の耳に入っては消えていった。
嶺亜「最後まで…無視すりゃよかったんだ。どうでもいい話は、ずっと無視してたのに。…それだけが、俺の人生の後悔」
それだけ言い終えると、ぽろっと一粒、嶺亜の目から涙がこぼれた。
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しずか(プロフ) - お話書いていただいて、ありがとうございました！かん。さんのお話は、いつも本人の心情や周りの愛情こもった気持ちがとても素敵に書かれているなと思います。これからもお話の更新を楽しみにしています！ (2022年4月25日 22時) (
レス) id: 2e5c54c5f4 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - しずかさん» リクエスト、ありがとうございました！なかなか構想がまとまらず、お待たせしてしまってすみません。。。続編にてお話を上げさせていただいてます！リクエストに添えていれば嬉しいです♪これからもどうぞよろしくお願いいたします！ (2022年4月25日 20時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ぷりんさん» リクエストいただきありがとうございました！時間がかかってしまいすみません(T ^ T)続編にて書かせていただきましたので、楽しんでいただければ幸いです！ (2022年4月16日 12時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ﾎﾟﾎﾟﾝさん» たくさんコメント書いていただきありがとうございます！(；ω；)とても嬉しかったです！また、しれっと公表した2つのお話のつながり、察知して気づいていただけて、ちょっぴりニヤニヤしてしまいました笑 これからも楽しんでいただける作品が提供できるよう頑張ります！ (2022年4月7日 23時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ﾎﾟﾎﾟﾝ(プロフ) - 長文にて失礼いたしました。これからも楽しみにしています😊 (2022年4月7日 14時) (レス) id: dde2180564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2022年1月23日 21時
