ひとりじゃないよ ページ31
【慎太郎】
緑「あー…今年もさみぃなぁ…」
街のはずれにある、小さなお寺の一角。
他のお墓とは少し違った形をしたその墓石の前にはバスケットボール。
綺麗に生けられた花は、あの優しいお母さんが生けたんだろうか。
「森本先生…？あっ、やっぱり！森本先生だ！お久しぶりです！」
緑「…あぁ！久しぶり。嶺亜」
嶺亜「来て…くれたんですね。ありがとうございます」
緑「ふふっ…うん。なんか、どうしてもこの日だけは忘れらんなくてね」
中村嶺亜は俺の教え子。
そして、コイツのたった1人の妹も。
緑「あれから15年かぁ…」
嶺亜「先生、随分老けましたね」
緑「余計なお世話だ。お前は？まだそれ片手に世界渡り歩いてるわけ？」
嶺亜が乗ってきた
学校が終わればすぐにパークへ急いで、大会だなんだと時々欠席することもあったけど、その度に成績をおさめて学校でも表彰されてたっけ。
意外にも、その成績からは想像もつかないほど芸術肌だった彼は、美大に行くため高校も余裕を持って絵とスケボーの続けられるところを選んでいた。
嶺亜「それより。もしかして、毎年来てくれてました？」
緑「ん。…あんまバレたくないから、こんな早い時間に来てたけど。実は毎年手合わさせてもらってた」
嶺亜「ははっ、先生だったんですね。コレ…誰なんだろうって、毎年家族で予想立ててたんです。まさか先生だったとは。アイツ、喜んでると思います」
緑「だったら、嬉しいな」
初任の時に担任したのが嶺亜で、3年後、彼の卒業を見送るのと入れ替わりで入ってきた妹も偶然に担任をすることになった。
笑うとキュッと細くなる目が嶺亜そっくりで、名字を見た瞬間すぐに妹だってことはわかった。
大人しくて控えめだけど、彼女の周りにいつも友人が集まるような陽だまりのような生徒だったことはよく記憶に残っている。
ただ俺は、彼女を卒業まで送り出してやることはできなかった。
“先生…妹が……”
泣きそうな顔で高校生になった嶺亜が俺んところを訪ねてきたのは、彼らの母親から“娘が小児がんのために入院することになった”と連絡をもらった日の夕方だった。
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しずか(プロフ) - お話書いていただいて、ありがとうございました！かん。さんのお話は、いつも本人の心情や周りの愛情こもった気持ちがとても素敵に書かれているなと思います。これからもお話の更新を楽しみにしています！ (2022年4月25日 22時) (
レス) id: 2e5c54c5f4 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - しずかさん» リクエスト、ありがとうございました！なかなか構想がまとまらず、お待たせしてしまってすみません。。。続編にてお話を上げさせていただいてます！リクエストに添えていれば嬉しいです♪これからもどうぞよろしくお願いいたします！ (2022年4月25日 20時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ぷりんさん» リクエストいただきありがとうございました！時間がかかってしまいすみません(T ^ T)続編にて書かせていただきましたので、楽しんでいただければ幸いです！ (2022年4月16日 12時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ﾎﾟﾎﾟﾝさん» たくさんコメント書いていただきありがとうございます！(；ω；)とても嬉しかったです！また、しれっと公表した2つのお話のつながり、察知して気づいていただけて、ちょっぴりニヤニヤしてしまいました笑 これからも楽しんでいただける作品が提供できるよう頑張ります！ (2022年4月7日 23時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ﾎﾟﾎﾟﾝ(プロフ) - 長文にて失礼いたしました。これからも楽しみにしています😊 (2022年4月7日 14時) (レス) id: dde2180564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2022年1月23日 21時
