349話 ページ49
【樹】
帰りが遅くなった日には、Aの部屋をのぞくことが日課になっていた。
変な意味はないから誤解しないでほしいけど。
そうして夜に部屋の扉を開けるたびに思う、俺はAの父親かよって。
でも、今日は扉を開けた先に彼女はいない。
と、いうことは必然的に、俺の寝る部屋も決まるわけなのだ。
青「北斗、さんきゅ…」
黒「おー…おかえり…。わり、俺も寝てわた…。あ…ごめん、帰ってきて早々悪いんだけどさ…」
青「あぁ〜…酸素、やっぱ付けずに寝た？」
黒「うん。どうしても嫌っていうから…。寝てる間につけさせようと思ったんだけど…寝落ちたわ。最後、93だったかな。今は…」
青「88かぁ…っても結構ブレてんな。下がった時怖いし、マスクの方がいいかな？」
黒「なら、起こさないと無理だね…。機嫌悪くなりそうだなぁ…」
青「しゃーない、後々しんどいのはAだし」
数値的には、なんともなく寝られてるのが不思議なくらいのAの酸素の数値で、たぶん俺らだったら、しんどくてこんな風に寝てるのなんて無理。
起こしたくはないけど、もうここまできたら俺たちじゃわかんないし、本人に決めてもらう。
どっちにしても、朝起きて知らないうちに酸素吸わせてると機嫌悪いし。
青「A、起きて。酸素しよ…」
「ん…」
青「酸素。つけるから、頭起こして？」
「ん…ぃぃ…」
青「いや、よくない。苦しいだろ？寝てても結構、ﾊｧﾊｧしてるよ？しんどい自覚あるっしょ？」
「だ、じょぶ…っ、ﾊｧｯ…」
黒「A？今、88。…わかるよな？」
北斗に少し強く言われれば、もう逃げ場はないといった様子。
カニューレを求めることなく、俺の手元にあるマスクを自分で選んだあたり、自分の中でも相当しんどかったんだろう。
酸素を吸わせれば、さっきよりも幾分楽そうな呼吸になってきて、そのまま眠りにつくのを見て、ようやく安堵できる夜。
青「Aが体調崩したり…まぁ、今回みたいに疲れて酸素必要になったりするたびに、1分も…1秒も無駄にしたくないって思うんだよね…」
黒「んぁ？」
青「俺らって、奇跡の寄せ集めなんだよなぁって、実感すんだ。だから、別にこいつがどうなっても、俺はしんどくねぇし、なんでもする」
黒「そんなの…俺も、同じだから」
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かん。(プロフ) - 美紀さん» 美紀さん、いつもありがとうございます！これからも末長く、この小説をよろしくお願いいたします(^^) (2020年10月8日 21時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2020年10月8日 18時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年10月5日 18時
