336話 ページ36
【北斗】
黒「なんか、スッキリした顔してるじゃない」
「そ？樹くんかき氷買ってくれたし、慎は焼きそば買ってくれたからね」
黒「めちゃくちゃモノに釣られてるじゃん」
そうじゃないよって、少し頬を膨らませて怒ったフリをする君には、やっぱり俺が目をさらしたかった、それまでの思い詰めたような表情はなかった。
でも時々少しだけ、今も寂しそうな顔をしてるのはきっと本人も気付いてないんだと思う。
黒「…ねぇ」
青「おぉ、北斗！昨日の海、超楽しかったべ。北斗も来りゃよかったのに」
黒「いや、俺だけ昨日普通に仕事入ってたのよ。…いや、そうじゃなくて。…なんかあっただろ、A。昨日、海で」
青「んー…なくは、ないよな。まぁ、直接言われちゃったら…避けられないんだって、悟ったんだと思うよ。あん時みたいに」
黒「…なんでそうやって誤魔化すんだよ」
そんな風に誤魔化してくるもんだから、少しだけ強く言えば、少しずつ海での出来事を明かす樹。
義足だから海には入れなくて、テントで男連中が海ではしゃぐのを見ていたAは、俺らJr.のことを知っている数名から声をかけられたりしたらしい。
その中で彼女に投げつけられた、
青「グループの足引っ張ってる、みたいなことも…直接じゃないけど、わざと聞こえるように言われたみたいでさ」
黒「は？…あり得ない」
青「そういう意見があるのも仕方ないって…言ってたけどね、A自身は」
この仕事をしている以上、世間の目に触れるのはもはや運命のようなもので。
もちろん100人が100人、もれなく応援してくれるわけでもない。
それは俺らだって、まして15年近くこの事務所でタレントをしているのだから、当然Aだって重々承知していること。
いざ直接心ない言葉をぶつけられ、それが自分ではどうにもできないことだとなれば…。
青「お前は行くな、絶対に。今回のことは…今回は、俺の番だ。お前でも、風磨でもない」
黒「樹…」
青「いいから。今回は譲らねぇから」
ギクシャクしているグループの中で、そっと周りを見て、さりげなく回してくれている樹だけど…。
Aと一番付き合いが古い樹。
黒「任せる」
本気の樹に言えたのは、ただそれだけだった。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» 美紀さん、いつもありがとうございます！これからも末長く、この小説をよろしくお願いいたします(^^) (2020年10月8日 21時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2020年10月8日 18時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年10月5日 18時
