328話 ページ28
【北斗】
黒「まだ、俺らのこと…頼れませんか？」
「…違う、ほんまにっ！ｳｯ…ﾊｧｯ…っ」
黒「ごめん、樹。一回どっか止まれる？ちょっとAダメかも。顔色見たいけど…」
青「ん、どっかコンビニでいい？」
黒「うん、お願い。A？気持ち悪かったら言って？俺袋とか持ってるから」
アドレナリンが切れたのか、帰路に着く頃になればさすがに体調の悪さを隠し切れない様子で、今もだいぶしんどそうなA。
目眩と車の揺れで酔ってしまったのか、俺の隣に青白い顔で座っている。
どうにも耐え切れなくなって、俺の膝にグッタリと倒れ込む姿は、下手すりゃ闘病中よりもしんどいんじゃないかとさえ思うくらい。
青「A、吐きそうー？」
「んーん、ない…」
青「なら、言うけどさ…。ちゃんと頼れよ、お前。別に誰を頼ってもいい。風磨でもいいし、滝沢くんでもいい。でも、言ってくれないと…困っちゃうよ、俺たち。だから、もっと周り頼れ…」
「んっ…ごめ…」
Aがそもそも周りを頼るのが苦手なことも、男社会で1人ここまで過ごす中で、上手く誰かを頼ることができずにいたことも、分かってる。
それはきっと、樹が一番よく分かってるけど、それでもあえて。
そんな言葉を耳に、しばらく車を走らせていた時だった。
「…っ、ﾊｧｯ…んぇっ…」
黒「ちょ、樹！路肩でいいからすぐ停まって！」
どんなに波打っても、何か出てくるわけではない。
そういえば…A、ライブ前から一切何も口にしてなかったような気がする…。
さする背中の動きが徐々に大きくなってきた。
黒「Aー？…樹、こっからAの病院何分？」
青「あー、ダメそうだな。…30分くらいだし、このまま行くか」
黒「ごめん、頼む」
最後まで、Aは病院なんて行かなくていいと抵抗したけど、さっき滝沢くんに、こいつのことは任せてほしいと大口を叩いてしまった以上、俺たちにそれは許されないわけで。
音響に慣れるには、まだまだ、こなしたステージが足りないのかもしれない。
だから慣れるまでは、どれだけだって俺らは付き合うつもりだし、早く、Aが自分の体に慣れていけるくらい…
青「もっとライブ、してぇなぁ…」
あ、こいつも同じこと思ってんだって思ったら、なんだか安心した。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» 美紀さん、いつもありがとうございます！これからも末長く、この小説をよろしくお願いいたします(^^) (2020年10月8日 21時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2020年10月8日 18時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年10月5日 18時
