無限の未来 5th season (ページ9)

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209話ページ9

【ジェシー】

“お仕事、忙しいのにごめん。これ、もしよかったら貰ってもらえないかな？”

Aから久々に連絡が来たと思ったら、そんなメッセージのすぐ後に送られてきたのは、カラフルな7本のミサンガが並んだ写真。

7本という数字と、俺にそのメッセージを送ってきたっていうことに、このミサンガが誰に渡したいものかってことくらい、すぐに分かった。

“もちろん！明日、もらいにいくね。6本とも”

すぐにそんなメッセージを返せば、ペコリと頭を下げるかわいいリスのスタンプ。

次の日、体調が悪かったりしたらどうしよう…なんて思ったりもしたけど、入院してるっていうAの元へ訪れたら、思ったより元気そうで安心した。

赤「聞いたんでしょー？色々…」

「んー？あぁ、うん。そう…だね。聞いたっていうか、まぁ、聞いたっていうか。そりゃ、こんなタイミングになったら…みんな、色々考えるよな…」

赤「そういう年齢ですからね」

俺もAも、高校3年生。

正直、将来のことを考えないわけではない。

でもそんなことはしばし忘れて、今だけは同い年だから話せることを、溜まっていた気持ちを、お互いにたくさん吐き出した。

Aも、ここ最近は色んなことがあったみたいで、彼女は少し混乱していた。

「あ、そや。これ！みんなにも…受け取ってもらえるかなぁ…」

赤「ありがと！…ほんと、3年で器用になったよね」

「そうやなくて」

少しふざけて受け取ったミサンガは、ツートンカラーに、ゴールドの金具が付いていた。

赤、黒、ピンク、黄色、緑、青、オレンジ。

“ジェスは赤かな〜？”って渡してくれたミサンガは、一旦大切に財布にしまった。

赤「もしかすると、すぐには受け取ってもらえないかもしれないけど…絶対、あいつらに渡すから」

「ありがとう」

そう言ってAは、オレンジのミサンガを大事そうに握った。

赤「そのお守りも、渡す相手がいるんでしょ？最後まで、俺、応援するから」

Aがどれだけ苦しい思いをしたのかなんて、分かってあげられる自信がなかった。

でも、これまでの2年間、どれだけAが必死に野球と向き合ってきたかは、俺だって知ってる。

だから最後まで、逃げ出して欲しくなかった。

そんな思いを胸に、2人で拳を突き合わせた。