無限の未来 5th season (ページ8)

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208話ページ8

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何もかもから逃げ出したくなった。

苦しくて、苦しくて、居心地だとか、自分の立ち位置だとか、もう何も考えられなくなった部活から、入院を機に逃げられるって思った。

でも結局は、入院する事で、そんな苦しさから逃げられると思ってしまった自分が悔しくて、そんな自分からも目を背けたくて。

そんなところへ、追い討ちをかけるようなあの6人からの連絡。

“6人では、全てやり切った。もう、未練はない”

いくつかラリーを繰り返したあとの、大我からのそんな覚悟を決めたかのようなメッセージに、突然頭が真っ白になった。

そういえば北斗も、少し前に似たようなことを言ってたような気がする。

6人でいるのが、ステージに立つのが、しっくりこなかったって。

同時に浮かぶ、あの世界で何年も過ごした自分だからこそ簡単に結びついてしまうこと。

いまは、彼らの言葉をそのゴールから意地でも遠ざけようと、自分の頭の中をコントロールすることに精一杯で。

そんな彼らの言葉からも、逃げたくなった。

N's「Aちゃーん、採血しよっか」

「はぁい…」

N's「あ、これお守りー？マネージャーさんだもんね。へぇ～、上手ねぇ」

「うん…」

逃げ出したいと思っているはずなのに、このままでもいいと思っているはずなのに、日に日に増えていく、完成したお守りたち。

チームカラーの赤に合わせたお守りが、まだ私を部につなぎ止めてくれてる気がした。

それと、これに集中をしているときだけが、“逃げたい”なんていう言葉すらも忘れて、ただひたすらに目の前のものと向き合える時間だったから。

Dr.「Aちゃん、白血球の数値上がってきてるよ。予定通り、戻れるよ」

「…ん、よかった」

先生の言葉は嬉しかったけど、戻った後のことを思うと、少し憂鬱だった。

そんな気持ちから目を背けるように、作りかけのお守りを一つ手に取った。

一人ひとりのお守りに名前を入れて、チームカラーと学年色を合わせたミサンガを括る。

ふと思い立ったわたしは、もう一種類のお守りを作った。

出来上がったのは、7つのミサンガ。

逃げたいけど…目を背けたいけど…やっぱり、離れたくなんかなかった。

「もらってもらえるかな…」

受け取ってくれるかはわからないけど、彼らに届けばいいな、なんて。