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246話 ページ46

【北斗】

岸「A、袖で泣いてたんすよ」

黒「えっ…Aが?…今は?」

岸「見せないんじゃ、ないすかね…A、だし…」


LIVEは大盛況に終わり、俺らも着替えて現実に戻っていた時、岸に呼び止められて、何かと思えばそんなことを言われた。

初めはビビったというか、焦った。

でも、Aが泣く理由なんて一つしか思い浮かばなかったから、もう泣いてないだろうって言うその理由も、なんとなく察しては納得した。

それは隣にいた樹も同じのようで、誰もいなくなった客席の隅に座るAを見ながら、笑っていた。

ポツンと一人、ステージを見つめるAは…儚くも、綺麗だった。


黒「A…帰ろう?」

「…もう少し、ここにいたい」

黒「でも…」

青「んー。じゃぁ…あと30分だけね。ここ閉まっちゃうから。30分だけ、もうちょっと頭整理しな。ね?」


別に誰が話すでもなく、ただ3人でボーッと、さっきまでギラギラに輝いていたステージを見つめるだけ。

さっきまでの賑わいが、嘘のように真っ暗で静かなステージは、祭りのあと…なんて言葉がぴったり当てはまるようだった。

あのステージを見て…Aは、何を思ったのか。

そんなことが、ぐるぐると頭を巡っていた。

そんな時。


「…悔しかった」


聞こえるか、聞こえないか。そんな小さな声で、ポツリとつぶやいたA。

俯いて、どんな表情をしているかはわからないけど、震えた声から色んなことが伝わってきた。

だから何も言わずに、震える小さな手を握った。

握った手には、ポツポツと、冷たい感覚。

暗いステージから、ほんの少し漏れた灯りに…Aの横顔で、涙が照らされていた。


「くや、しい…っ」


この3年間、何度も傷ついて、何度も苦しんで、何度も悔しい思いをしてきたA。

でも現実は変えられなくて、今あるのは、俺たちと同じステージには立てなかったという、ただそれだけ。

過程がどうであれ、自分がどれほどにやり切ったとて、この世界は結局、結果勝負なことは、誰より長くここにいたAが一番よく知ってる。


「絶対…年明けには、間に合わせる…」

「だから…」


その言葉の続きは、涙で遮られてしまったけど、ちゃんと伝わってるよ。

何も言わずに、もう一度だけAの手をしっかりと握った。

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美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年9月7日 14時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かん。 | 作成日時:2020年8月16日 11時

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