無限の未来 5th season (ページ5)

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205話ページ5

【数原】

数原「壱馬、悪りぃ…。そこにある、Aのカバンからポーチ取ってもらっていい？白いやつ。A～、移動するからちょっと揺れるで？」

「ﾊｧｯﾊｯﾊｧｯﾊｯ…ｯ、ﾊｧｯ！…痛いっ！ﾊｧｯﾊｯ…」

数原「んー…痛いなぁ。そんだけ呼吸早かったらな…。よし…ちょっと抜けよ」

さすがに、過呼吸を起こした状態のAを寮まで運ぶことはできなくて、とりあえず近かったクラブハウスへ駆け込めば、胸を押さえて、痛い痛いって。

そんなAの姿見ても、焦るより先、こんなに苦しい思いさせるくらいなら、益田とはしばらく離そうか…なんて考えられるようになっただけでも、俺も落ち着いて対処できるようになってきたものだ。

当の本人は、呼吸できないパニックでそれどころじゃないだろうけど。

「ﾊｧｯ…ﾊｯ…ﾊｧｯ……ﾊｧｯﾊｯ…、く……く…し…ﾊｧｯ」

数原「大丈夫、息吸えてんで。ちゃんと吸えてるし、そのまま息吐いてみ？出さな、胸痛いで？」

「ﾊｧｯﾊｯ…ﾋｭｰｾﾞｪ…もど、らな……ﾊｧｯﾊｯ…かた、づけ…っ、ﾊｯﾋｭｰ…」

数原「うん、大丈夫、みんなできるから。な？ていうか、喘息出てるし…。ほんま、一回落ち着こうや。そのままじゃ、しんどいっしょ。薬吸える？」

また何か言われたのかはわからないけど、メンタル的にもそこまで弱くないAが、なにもなくこんな風になるなんてのは、なかなか考え難い。

それも今日で過呼吸を起こすのは、短期間に2回目。

どちらも、原因は明らかに益田との間で起きたことだってのは間違いないわけで。

そんなの…嫌な予感しかない。

佐野「たぶん今日…A、朝からずっと足、痛かったんだと思う…」

クラブハウスに帰ってきた玲於の言葉でAに目を向けると、何もない床を握りしめるA。

なるほど、それを言えずに耐えてたわけか。

そこに追い打ちかけるように、何か言われたのかな…。

数原「無理やりに理解しろとは思わないけど…ちょっとこのまま一緒にはできねぇよな…」

佐野「ごめん、俺…益田のこと怒鳴っちゃった。監督がひくぐらい…」

数原「え？」

許せなかったから…ってボソッと呟く玲於に、少しだけ笑ってしまった。

でも、これできっと、もうAが心配することはないのかなと少し安心した。