無限の未来 5th season (ページ37)

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237話ページ37

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このままじゃダメだって、そう思った。

6人が振付師さんたちに怒鳴られながら、それでも必死についていって、負けるものかと必死に喰らいつくその姿を見て、絶望すら感じた。

だから、こっそり部屋を出た。

緑「なーんで、一人でやってるの？」

「うわっ！」

緑「別に、言わないよ。あの2人には。でも、なれない義足でダンスして、一人の時に怪我されても困っちゃうから…ここにいるね」

「っ…しないもん…」

緑「ふふっ。ん、でもさ…。怪我しなくたって、一人でがんばるの、単純に寂しいっしょ？」

本当は止めたい気持ちを抑えて、でっかくなった体でドーンと受け止めて、過保護なお兄ちゃんたちにはバレないように、少しだけ無理をさせてくれる慎。

年末のライブ。

ステージには立てないけど、私にだってできる。

そう、自分で確かめたかった。

そのために、通しリハについてきたんだ。

「っ！」

緑「A？…どしたの？怪我…は、してないね。よかった…」

「ん…なんでも、ないっ」

緑「そ。じゃぁ、休憩、ちゃんとしながらやりなよ？」

「…っ」

緑「ふふっ。ん…がんばれ、A」

自分のストレッチをしながら、少しだけ私の方を見る慎。

ここは、こうだよ？なんて所々教えてくれて、左足を庇いながら踊る私にも、容赦なく…これまでと変わらないスタンスのまま接してくれる。

でも、それは私が望んだことだから。

緑「んー、義足だとこのステップはさすがにキツいのかなぁ？あ、ちょっと左足…こうしてみる？そしたらいけるかも」

「…おぉ、いけた。さっきよりは、やりやすい。こんな感じ？」

緑「そそそ、それなら大丈夫そうだね。…なるほどね、義足だと、こういうステップがやりにくいのか」

「足だけど…膝上ぐらいからは、まっすぐ固まってるみたいなもんやから」

どうしても義足には、限界がある。

どうしても、自分の足と同じようにはいかない。

そんな限界を、限界でなくしてくれる慎。

緑「向こう、向けよ。俺、見ないから」

「…ばぁか」

緑「俺だけの秘密にしておいてあげる。大丈夫」

いつの間にか、こらえていた涙がスッと流れてきて、それでも構わずに踊った。

悔し涙か？と聞かれたら、わからない。

なんの涙かは分からないけど、頬を伝う涙は、拭わなかった。