無限の未来 5th season (ページ28)

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228話ページ28

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学校終わり、授業が終われば一目散に学校を飛び出す。

それ自体は部活してたあの頃と変わらないけど、向かう先は学校から少し離れたダンススタジオ。

高校入学から2年半の間、当たり前のように部活に費やしていた時間は一転、ほとんどをダンスに費やすようになった。

学校が終わればすぐにJr.の仲間とスタジオに集まり、練習に付き合ってもらう。

初めこそ、隠れるようにして一人でスタジオにこもっていたけど、そんなコソ練を彼らが気づかないはずもなくて、一人、また一人と仲間が増えていった。

青「おー、お疲れ。なんか、だいぶ歩き方は違和感なくなってきたな」

「ほんと？やったね～」

青「つーか、汗。ちゃんと拭けって…。風邪ひいちゃうから。な？」

「まだあっついね〜。学校からここまで来るだけで、汗止まんないよ」

病気の影響もあるしねって、たぶんこの人は誰より私のことをよく知ろうとしてくれてる。

こうしてみんなが知ろうとしてくれて、それでもと手を取ってくれるからこそ、戻ってこられたんだ。

平日はスタジオで練習。

ありがたいことに、あまり激しい動きがなければ、少しずつテレビにも復帰できるようになってきたから、ちょっとずつお仕事もいただいて。

テレビの収録や、雑誌の取材に時間を費やす日々。

「数年前までは、私もこれが普通やったのにね…」

青「ふふっ。お前はガキん時からずっとだしな」

「学校から仕事場とかね」

青「なぁ…A？まだ、今って…お試し期間…だったりする？」

「んー？どういうこと？」

青「いや…」

聞き返せば口籠る樹くんが言いたいことは、なんとなくだけど、察してしまった。

きっと、周りが大きく揺れている中で、私も樹くんにとっては、その不安定な存在の一つなんだと思う。

「大丈夫…。とりあえず戻ってきたわけやないから。じゃなきゃ、申し訳なさすぎて、こんなにみんなの手、借りられんよ」

青「…そっか」

樹くんの、心底安心した顔に、胸が痛んだ。

そう…忘れていたわけじゃないけど、ここは本当に不安定な世界。

不安定すぎて、何が確かなものかも、わからなくなるくらい。

「私は、絶対に諦めない…。絶対、また…みんなと同じラインに追いつく」

青「おう、待ってる」

久々に重ねた樹くんの拳は、大きかった。