無限の未来 5th season (ページ17)

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217話ページ17

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佐野「…痛み、落ち着いたか？」

「ん…っ、ちょっと…」

佐野「そっか。…片寄、タオル持ってきてくれたけど？背中、気持ち悪いっしょ。…あとで、拭きなね」

「…ん」

どうしてこうなったんだっけ…って、思い返してもなんだかよく分からない感覚が、ほんの少しの間続いているみたいだった。

そのまま、だんだんとボンヤリしたところから、頭がはっきりするにつれて、頭に浮かぶさっきまでの映像。

お風呂から出て、着替えて…。

あ、そうだ。

髪を乾かそうとしたら痛くなったんだ。

そこからはもう、さっきと同じみたいにイメージは消えていって、真っ暗な頭ん中には、ただ“痛い”という記憶しかなかった。

数原「…やめとけ。思い出さんでええよ。ちゃんと、治まったんやし。それより、なんか飲まな。めっちゃ汗かいたしな…」

「ん…さんきゅ…」

数原「ゆっくり飲めよ？」

受け取ったスポドリが喉を通る感覚が気持ちよくて、そのまま何度も繰り返した。

ふと空っぽになったペットボトルを口から離して、そのままボーッと、回らない頭で周りを見渡せば優しい顔した同期たち。

みんな口々に、“頑張ったな”って言って、優しく頭を撫でたり、背中をさすってくれる。

まだ少しだけ痛みと苦しさは残ってて、痺れた手足を片寄が優しく揉んでくれた。

なんか…小さい頃、ここじゃない場所でこんなことがあったっけ…って、まだあの世界に飛び込んだばかりの頃の自分を思い出していた。

片寄「寒くない？」

「ん…だい、じょぶ」

数原「ちょっと怖いし…今日は大部屋で寝よっか」

佐野「A？まだしんどい？歩けそう？」

さすがにこの状態で杖ついて歩くのはしんどい…と思いながらも、それさえ伝えられない。

それでも、ちゃんと汲み取ってくれる同期。

サッと数原の背中に背負われて大部屋へ行けば、先に戻ったみんなが準備してくれたお布団。

「ねぇ…あん時…益田さん、いた……？」

そう聞けば、気まずそうにみんなが頷く。

寮生や、2.3年生は私が義足を外した姿を見たことはあるけど、益田さんは、多分初めて。

私のあの姿を見た益田さんは、何を思ったんだろう…。

佐野「大丈夫。きっと、大丈夫だよ」

数原「大丈夫や。きっと、分かってくれたと思うで」

2人の言葉を、信じよう。