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202話 ページ2

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「も…無理や…。もう、しんどい…。苦しい…」

片寄「ん…大丈夫。俺らも、分かってるから…。Aがめっちゃ頑張ってんのも、ちゃんと知ってるから。それより、足は?」

「痛い…。っ、ハァ」

片寄「冷やしても…。んー…気休めやんな。あんま変わらんか…」


益田さんの言うことは、どれも世間一般からしたら正論でしかなくて、第三者の目線から言われたそれは、なにひとつ間違ってはいなかった。

病気のせいでだとか…ケガを防ぐためだとか…そんな自分本位な理由で、仕事も満足にできないのに、教えられないのに…マネージャーとしてなんのためにいるのか。

ただ、選手の負担を増やしているだけ…。

益田さんに言われたことを思い出すと、これまで必死に守ってきた自分のプライドも、作ってきたポジションも、全部が崩れ落ちるみたいで、チクリと胸が痛んだ。


数原「ほーら。また呼吸早くなってる…。余計なこと考えんなって。ん、ゆっくり…」

片寄「ていうかさ…。これ、この腫れ方してたら、しばらく義足付けらんないでしょ…」

数原「んー…どうだろうな。病院行かなきゃ、なんとも言えないんだろうけど」


背中をさすってくれる数原の大きな手と、痛む足を冷やしてくれる片寄の姿に、また涙がこみ上げてくる。

悔しい。

この体だって、ほかの強豪校のマネージャーに負けないくらいに頑張れると思っていたのは、全国屈指の高校球児である彼らを支えるって思ってたのは、わたしのただの思い上がりだったんじゃないかって。

悔しくて、悔しくて…それと同時に、一気に自信がなくなった。


佐野「しばらく、休むか…?俺、監督に言うし」


これまでだったら、絶対にそんなことしたくないって即答してたと思う。

あと半年しか一緒にいられないこの野球部に、少しでも長い時間いたかったから。

でも、今の私には、それを即答できないくらい自信がなかった。

自信がなくて、逃げたくて…ここに居続けることが、怖くて…情けないけど、今は逃げたくて仕方がなかった。

逃げたら終わり、なんて、分かってるけど。


数原「どっちでもええよ。でも…」


休んでまた何か言われるのが嫌なら、俺らが全力でサポートすると言ってくれるキャプテン。

今のわたしには、それが何よりも心強くて、また涙があふれた。

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美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年9月7日 14時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かん。 | 作成日時:2020年8月16日 11時

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