無限の未来 4th season (ページ36)

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186話ページ36

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冬っていうこともあって、乾燥に加えて足が浮腫みやすくなって、気をつけていても、接合部のトラブルが起きてしまう。

今までだったら、そんな些細などうにもならない、多少は仕方ないってことに対しても、ずーんと落ち込んで、自分だけで耐えて忍んでいたかもしれない。

でも、いろんなことを一緒に乗り越えてもらって、助けてもらう中、こういうことは黙ってる方がみんなに迷惑かけることは学んだから、素直に甘え助けてもらう。

…ことが、ようやぬできるようになった。

佐野「おー、風呂あがったー？」

「ん。ごめん、お願いする」

佐野「ほいよ。そこ、座って。あぁ、狭かったら適当に物どかして。…そろそろ義足、調節するんだっけ？」

「んー…っと、あぁ…そうやね。そんな時期かな」

佐野に言われて、カレンダーに目を向けてようやく、来週が次の義足の調整日だったと気づく。

普段なら、練習を休むことになるってこともあるから、義足の調整だとか病院だとか、それがいつになるのかなんて忘れっこないのに。

余裕、なかったのかな。

黙ってしまった私との、静かな空気を気にせずマッサージをしてくれる佐野は慣れたもの。

その優しさも相まって、少しずつ痛みも和らいできたような。

「なぁ…佐野…？」

佐野「んー？なにー？」

「センバツ、さ。もし、順当に今年も勝ち進んで…切符掴んで出てたら…。そん時、私は甲子園のグラウンドに、居れたんかな？」

佐野「…さぁ、どうでしょう？」

「もー、真面目に答えてよ」

佐野「ははっ。そんなん、答えなくても、自分が一番よくわかってるっしょ。お前は…意地でも出てたと思う。最後だし」

「…間違いない、佐野、よくわかってる」

確かに、佐野の言う通りかもしれない。

きっと私は、意地でも大会に出てたんだろうと、言われてみればそう思う。

うまくいけば、あと3回で抗がん剤の治療も終わる。

ありがたいことに、夏まではまだ時間がある。

佐野「恥ずかしいから、今から言うことは、独り言だと思って流してほしい」

「は？」

佐野「お前は…俺がこれまで出会った人間の中で…一番強いと思う。一番弱いけど、一番強い。だから、自信持て」

「え？」

佐野は、それ以上何も言わなかった。

何も言わずに、真っ赤な顔を少しだけ俯かせた。