無限の未来 4th season (ページ35)

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185話ページ35

【佐野】

佐野「A、梅どの列？」

「んー？あれ、どっちやっけ。えーっとね…今日作ったの早すぎて忘れた」

佐野「まじかよ…」

「あー、でも…こっちちゃう？なんとなくやけど。まぁ、大丈夫。梅ちゃうくても美味しいって」

佐野「いや、そういう問題なのか？」

最近のAが数原と決めたことなのか、治療を受けてきた日は、先に捕食を作って練習に合流するのがお決まりの流れになっていた。

Aは、Aのペースで、それでもチームの1人として取り組んでくれている。

壱馬のインフル事件で、一瞬寮内に緊張が走ったが、全員が徹底して感染の拡大を防いだのと、Aへの過剰すぎるほどの過保護のおかげか、Aへの感染は防ぐことができた。

いつ、なにがあるか…なんて、言葉では、頭では理解していたことだけど、こうなると、本当にすぐそばに危険なんていくらでもあるんだって、ちょっと怖くなる。

「っ…」

佐野「ん？どったの？」

「や……」

佐野「A？」

「…誰にも言わん？」

佐野「ことによる」

「…ちょっと足痛くて。なんか、浮腫んでるみたいで」

なんか女子っぽい悩みだな、なんて返したら、真剣に相談したのに！って怒られた。

けど、やっぱり足に痛みが出てるのであれば、それは放って置けないわけで。

佐野「足、とりあえず見してみ？」

「見て、分かるん？」

佐野「いや、まぁ…普段と違うかどうかくらい、分かるっしょ」

そう言えば、素直に捲られたジャージの裾。

確かに、普段よりも浮腫んでいるみたいで、少しだけ赤くなっているAの足。

佐野「風呂出たら一回俺の部屋来い。うちの部屋っ子は、この時間自主練で室内行ってるし。マッサージするにしても、多分、お前の力より俺の方がマシだから」

「ごめん、助かる…」

佐野「まぁ、おにぎりのお礼だと思って」

2年もかかってしまったけど、ようやく、こうしてグッと踏み込んでみれば、Aが自分から頼ってくれることが増えてきた。

他の人には言わないで！と言われることは多いけど、お前と2年一緒に過ごしたバカどもを舐めないでほしい。

絶対、普段と違うことくらい、みんな気付いてるから。

俺ら、馬鹿だけど。

でもそんなこと言ったら、各方面から怒られそうなので、静かに練習場を後にした。