無限の未来 4th season (ページ29)

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179話ページ29

【濱田】

なんも、話すつもりなんてなかった。

小さな、小さな…かわいい、同期にだけは。

離れた場所で、ただひとり頑張るAには…。

濱田「4人とな…今何話したらええか、わからんのやわ」

Aには心配かけたらあかんって思ってたけど、気づいたら、そうして一言口火を切ってしまったら、そこからはもう止まらなかった。

もう、全部話すしかないっていうか、どこまで話したって同じだな、なんて。

そうして話しながら、情けなくて情けなくて仕方なかった自分への想いが、どんどん溢れた。

同期とはいえ、8つも年下のA。

家族の中では末っ子だった俺にとっては、初めてできた妹みたいな存在で、小さな体で、俺たちに負けまいと、まっすぐに頑張り続けるAが、ただただ可愛くて仕方がなかった。

そんなAが、多分初めて、こんなにも強く自分の思いをぶつけてきた。

濱田「最初は、ただ…パニックやった。でも、だんだん実感湧いて来てな…。今は、置いてかれた…って言う気持ちが支配してる」

「うん…」

濱田「まだな、諦めてないねんな。流星…とかさ。でも俺は…俺は…どうやろ。自分でも、よぉ分からん…」

「…なぁ、濱ちゃん？確かに…諦めるのも、ひとつの道やと思う…。実際私も、転移見つかって…高校卒業したら、このまま辞めることも考えてる」

だんだんと小さくなるAの声は、震えていた。

もう何年も、死と隣り合わせに生きているA。

そんなAの電話越しの叫びは、止まらない。

「でもな、野球だけは…今いる、この世界だけは…失いたくないねん。もう、置いていかれたない…。だから……あそこに、戻るためやったら…なんでもする」

「濱ちゃんは、そこまで、した…？4人に、気持ち、ぶつけたん？やれること、全部、したん…？カッコつけるん、ええ加減に…ｯｹﾎｹﾎ、ｺﾞﾎｯ…ｹﾎｹﾎｯ…ｾﾞｪ…ﾋｭｰｯ…ｾﾞｪ…ﾋｭ…」

濱田「…A？Aっ！大丈夫か？A？誰か近くに居るか！？A！？返事せぇ！Aっ！」

電話越しのAの悲痛な叫びは、俺の心をキツく締め付けた。

そして、電話の向こうのバタバタとする空気に、気が気ではなかった。

ここまでして、Aが伝えたかったことは、十分すぎるほどに、俺の心に響いていた。