無限の未来 4th season (ページ31)

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181話ページ31

【数原】

通院治療の許可が下りたとAから連絡を受け、そのまんまを寮のみんなに知らせれば、同期は小躍り状態。

外来での治療へのOKが出たことよりも、それ以上にビデオ通話先のAの表情が、入院前より心なしかスッキリしていたことが、俺は嬉しかった。

きっと、治療だけじゃなく…なにか、前を向けることがあったんだろうなって。

片寄「A、ちょっとは元気になってた？」

数原「気持ち的には、そうやと思うで。てか、だいぶスッキリした顔してたし。なんか、引っ掛かりでも取れたんちゃう？」

片寄「よかった…」

数原「“野球に集中できるわ”って、言ってたわ。治療が通院になったから、ってだけなんかは…よく分からんけど」

片寄「ふふっ。そこは、まぁアイツに任せようや」

こいつも同じこと思ってるだろうと思ったら、やっぱりそうやった。

片寄は中学からAと同じだったから、他の誰よりもAのことを気にしてる。

一回だけ、Aのことが好きなんか？って聞いたことがあるけど、そんなわけはないらしい。

ただ、なんかよく分からんけど、絶対に高校ではコイツと仲間になるんだろうって思ってたとのこと。

第六感的な。

片寄「あいつは絶対に、日本一のマネージャーになれる。どこのマネージャーにも、負けん。負けるわけがない」

数原「…なんかさ。たまに、お前らの関係ってよくわからんことがあるけど…。なんか今なら、お前があいつを信じる気持ち、わかるような気がするわ」

片寄「やろ？…やから、帰って来てもらわな困る。Aには、全部、見届けてもらわなあかん」

数原「17人+マネージャー…じゃないからな。18にんに、ならなあかん」

片寄「ん、そゆこと」

半年前、甲子園のベンチ前で、ワンワン泣いていたAの姿が脳裏に浮かんだ。

あの日、最後に病院へ帰る前、2人きりになったその時、俺だけに教えてくれた。

もちろん先輩たちともう野球ができないっていう事実が、寂しかったし、悔しかった。

“でもね、一番は…ここまでたどり着くチームを、ほとんど知らないまま来ちゃったから。それが一番悔しかった”

今年の秋も、Aは悔しい思いをした。

だからもう、これ以上悔しい思いはして欲しくない。

全部、見届けてもらう。

いや、一緒に闘う。