170話 ページ20
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「あと半分かぁ〜、去年も思ったけど、長いねぇ。一日は一日なのに、1週間は1ヶ月ぐらいに思える。なんや、このよくわからん理論は…」
片寄「地獄は続くよどこまでも…的なね〜」
佐野「やめてくれ。冗談にも聞こえない」
数原「そんなハードな冗談言える余裕があるんなら、まだいけるな。うん、いける、いける」
「いくに決まってるやん」
合宿中のおやすみは、自由に使える。
久々にいつものトリオも、ゆっくりとしている。
地獄の合間、束の間の、緩やかな時間。
「一昨年は、去年があんな年になるとは思わんかったし…去年は、今がこんな風になってるとも思わんかった」
片寄「なんやねん、急に。ポエムか」
「来年の今頃さぁ、うちらは、どうしてるんやろう…」
数原「来年の、今頃なぁ…。どうやろな」
来年の今頃。
それは、進路を考える時期。
私は一年後、どんな未来を選択しているんだろう。
ここのところ、思ってもない未来しか歩んでいないから、未来が全く想像できない。
“…やっぱりな、戻りたいねん。今まで生きてきた、あの場所に…いつかは戻りたい。それくらい、大好きな場所やった”
あの場所を手放す前に、大我くんに伝えた言葉。
あの時は、なんの嘘偽りもない言葉だった。
けど、周りも自分も、少しずつ状況が変わって、思いもしなかった未来に立っている今、この言葉通りの未来を、自信を持って描けない自分がいた。
数原「亜嵐さんと、大樹さんはプロ。中務さんは、社会人で決まって…小森さんは、年明けに結果が出るけど、ほぼ大学で決まりか」
佐野「俺らはどうなるんやろな」
「どうなってもええか!楽しければ、それでいい」
片寄「いや、もう完全に考えるん放棄してるやん!」
考えるのが嫌になって、そんなことを言えば、お前が言うたんや!って大笑いで突っ込んでくる3人。
思い描いていた未来を、今自信を持って描けてない…ただそれを繰り返すのが、怖かっただけかもしれない。
けど…この3人には、いつも助けられてばかりだ。
この3人と、同期17人の選手と…可愛い後輩たちと、甲子園に行きたい。
このチームの1人として、もう一度あの景色を見たい。
片寄「ん」
唐突に片寄が突き出した拳に、私たちも拳を突き出した。
言葉はいらない。
あと、半分だ。
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美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年9月7日 14時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かん。 | 作成日時:2020年7月14日 17時