167話 ページ17
【数原】
数原「あーかーん。今日は休んで。な？頼む」
「やる…もう、痛くないから…。できるから、やるの…」
数原「A。1日も…いや、数秒たりとも無駄にしたくない気持ちは汲むよ？でも、現にいま…苦しいんやろ…？それは、できるとは言わんって」
「そ、なこと…っ」
数原「ないとは、言わせん」
正直、Aが戻ってきてから今日で1週間。
もちろん、無茶させたとは思っていないけど、少なからず無理はさせてたとは思ってる。
まぁ、もちろんそうするしかなかったといえ…だけど。
昨日は幻肢痛で、しばらく眠れなかったみたいで、片寄からも佐野からも、あれはさすがに辛そうだったから、今日は休ませてやってほしいなんて言われるレベル。
現に今も、俺の目の前にいるAは、呼吸が浅くて明らかにしんどそうだし、なにを言われたとしても、今日は俺だってAを止めるつもりでいた。
数原「退院するとき、先生と約束してきたんやろ…？」
「じゃぁ…見てるだけでも…。それでも、ええから…」
数原「それは、もう俺には判断の権限ないよ。どうしてもなんやったら、監督と相談し」
「…っ」
俺たちには医療の知識がない。
それは俺たち選手だけじゃなく、監督も同じ。
だから、機械と数字で判断のできる事で、Aと主治医の先生との約束の基準を決めてもらった。
「…酸素、92、やってん。さっき、測ったの」
数原「うん。それは…しんどいって、ことよな？」
「95になったら、なれたら…グラウンド…いきたい…っ」
数原「うん。そうしたいんやったら、それまでは…ちゃんと部屋で休んで？」
監督からの指示もあり、そのまま部屋に送り、多少落ち着くまでは一緒にいてやろうと思って。
当の本人は、すぐに背を向けて壁を向いていた。
悔しさ、隠しきれずに震える背中が、苦しくて…なんか、気の利いたことなんて言えなかった。
数原「横になるんやったら、足、外しとく？」
「…手伝って、くれる？」
数原「当たり前やん」
調子のいい日ばかりではない。
むしろ、調子がいい日なんて、ありがたいとさえ思う。
でも、決して彼女は特別ではない。
一緒に歩んで、駆け抜けていく仲間だから。
義足を外した足を撫でながら、Aの生きる道が、少しでも楽になればと思った。
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美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年9月7日 14時) (
レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年7月14日 17時
