106話 ページ6
2回目の治療。
私はわがままになった。
これまでずっと強がってきた仮面なんて、どこに行ったのか分からないくらい、わがままになって、弱い自分が見え隠れをして、泣き虫になって、時々、自己嫌悪になったりもする。
でも、そんな自分も嫌いなわけではなかった。
「ねぇ、先生…夏の大会行ってもいい？」
Dr.「大会？んー…さすがに今はまだちょっと判断できないかなぁ〜。まだ治療の効果も、そこまで出てきてるわけじゃないから。もう少し待ってね。それより、リハビリの話してもいい？」
「リハビリ…」
術後のことを、脚を失った後のことを考えると、どうしたって悲しくなる。
でもこの時の私は、最初にそれを言い渡された頃と比べれば、それなりに前向きに、そして自分が受ける治療に興味も持つようになっていた。
今日は術前のリハビリのお話。
脚を切ってしまったら、しばらくは無理に動くことはできないし、動けない生活では筋力が落ちてしまうこともあって、それを見越せば、そろそろリハビリを始めなくてはいけないらしい。
「なんで左足切るのに、右足のリハビリするの？よくわかんない」
Dr.「んー…まぁ、わかんないよね。じゃぁ、Aちゃんさ、今ここに、右足だけで立ってみて？ん。そうそう。今はちょっとふらつくかなー？くらいでしょう？」
「ん、ちょっとだけね」
Dr.「手術後は、その状態になるんだけど…」
先生も、私の興味には気づいてくれていて、もう高校生だしって、分からないことは、理解ができるまで丁寧に教えてくれる。
どうやら筋力というのは、どれだけ頑張ってつけたものでも、動かさないとすぐにダメになってしまうらしいというのは、のちに勇人兄ちゃんから聞いたんだけど。
だから、手術の前からリハビリして、落ちても生活できる筋力を蓄えておくんだとか。
っていう解釈があってるのかはわからないんだけど、とにかくリハビリはとても必要だってことはわかる。
「先生、体調良かったら外出許可出る？試合見に行ってもいい？」
Dr.「だから判断はもう少し待って。そのためにも、しっかりリハビリしてください。試合行って骨折した、なんてなったら、みんなびっくりしちゃうよ？」
試合に行くため、みんなのところへ行くためなら、ちょっとくらい辛くても平気だと思えた。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます！！！ (2020年5月30日 11時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでと更新大変だと思います頑張ってください応援していますコロナウイルス流行ってるので気をつけてくださいね (2020年5月27日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年5月20日 22時
