144話 ページ44
【数原】
甲子園を終えて、すぐに新チームが始動して、思ってもないままキャプテンに任命をされた。
もちろん喜びがないわけじゃないけど、正直戸惑いの方が大きくて、どうしたらいいのかわからなくて、先輩たちもこんな感じだったのかなぁって。
そんなことを思いながら数ヶ月をがむしゃらに過ごしてみたけど、新チームのキャプテンになってからは、なかなか思うような結果が出せずにいた。
そんな状態で、結果が出る未来さえも見えず、練習にも身が入らず、大所帯のチームをまとめることの難しさにぶち当たっていた。
「なるほどなぁ…。でもだからって…私の、ところに来たところでという感じでして…」
数原「別に、どうしてもらおうとも思ってないわ。ただ…顔見て、元気もらおうかと」
「ふふっ。まぁ、数原がそれで元気が出るんなら、別にいつ来てくれたってええけど…」
甲子園の初戦で会えてからずっと会えていなくて、夏ぶりにあったマネージャーは、治療の再開で、あの時でさえかなり痩せてしまったことを感じていたけど、より一層痩せ細っていた。
一時期は、見たくもないとまで拒否してたらしい義足が、もう一度彼女の一部となっていたことに、彼女も彼女で必死に前を向いて頑張っているのを感じるしかなかった。
「今から、リハビリやから…。まだ帰らんのやったら一緒に行く…？ちょっと手伝ってよ」
数原「えっ…」
「ええから。ね…？」
そう言いながら慣れた手つきで義足を履き、ヒョコヒョコと歩き出すA。
正直、お世辞にも上手に歩けてるとは言えなくて、いつ転びそうなほどに危なっかしい。
思わず片手を取って杖を預かり、一緒に歩く。
「ありがと、助かる」
リハビリを続けるAは、ものすごく真剣だった。
グラウンドにいた時と、なんら変わらない表情でリハビリに取り組んでいた。
何度もよろけたり、失敗したり、転んでしまったり、うまくできてないことの方が多かったけど、それでも。
「数原ー！できたー！」
数原「おうっ、すげぇじゃん」
「ほれっ！」
やっぱりこいつに会いにくると、元気が出る。
できないことに目を向けていたって仕方がない。
こいつが帰ってくる場所を、俺たちが守っていてやればいいだけだ。
天真爛漫に笑うAを見て、そう思えた。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます！！！ (2020年5月30日 11時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでと更新大変だと思います頑張ってください応援していますコロナウイルス流行ってるので気をつけてくださいね (2020年5月27日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年5月20日 22時
