139話 ページ39
【大我】
先輩の退所は世間的にも大きく取り上げられて、俺たちも正直驚いたし、少なからずダメージはあって。
でも、家族である樹はもちろん、家族レベルで、こっちに来た頃からずっと、本当の妹のようにAもまた、相当堪えていた。
そんな心の不安定さに加えて、治療のせいか、そもそもの病気のせいなのか、全く安定しない体調。
会いに行っても、一日中ほぼなにも話さず、それでも苦しむAを一人にしておくこともできなくて、ただ一緒にいるだけ、なんて日も珍しくはなかった。
「っ…！ぅんっ…、ﾊｧｯ…ったぃっ…！」
桃「ちょっ！A、どうしたの！」
「たぃ…が……くっ、痛いっ…足、っ…あぅっ…！」
突然ビックリするくらいに苦しそうにベッドでうずくまったAが必死に“痛い”と訴えながら押さえているのは、なにもない、白いベッド。
Aにとっても、久しぶりの幻肢痛だった。
必死になにもないベッドを押さえては、冷や汗をかきながら、痛い痛いと泣きながらも必死に叫ぶA。
俺の腕を握る力も徐々に増してきて、Aの爪も食い込んでるけど、そんなのどうでもいい。
桃「痛いね…。大丈夫、大丈夫。俺がいるから…。大丈夫だからね…しんどいね…」
「た、がぁ…くっ、痛いっ、痛いよ…っ」
桃「ん、そうだね…痛いなぁ。早く、痛み引くといいんだけどね…お薬、飲んでみる？」
「っ…い、い…」
薬を飲んでも、効くわけじゃない。
あたかもそこに、足があるかのように、俺もAの足をさすり続ける。
それで少しでもAが落ち着くなら、見えない足をさすって、必死に足を傷つけようとするそれを庇って、自分の腕に少し傷がつくくらい、お安い御用だ。
「…ありがと、大我くん」
桃「落ち着いた？…もう…こんなに汗かいて」
「……いろんなことが、受け入れられへん」
桃「うん…。色々……ありすぎたね」
元々、関西ジャニーズJr.だったA。
もちろん今回の先輩の一件でもかなり動揺はしていたんだと思うけど、畳み掛けるように関西の方だって色んなことが起きているらしい。
俺たちは俺たちで、かなり揺れてるけど、関西は今、それ以上に激動みたいで。
俺も色んなこと考えてるけど、不安定な今のAには、どうしてもそれを、悟られたくなかった。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます！！！ (2020年5月30日 11時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでと更新大変だと思います頑張ってください応援していますコロナウイルス流行ってるので気をつけてくださいね (2020年5月27日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年5月20日 22時
