138話 ページ38
【樹】
「あ、今日も…樹やぁ…」
青「なに、今日も俺が来て嬉しい？」
「うん、嬉しい…。ふふっ。あのねぇ…昨日はぁ、あのあとね、樹が帰ってから、真田くん…と、あぁ…あと、謙ちゃんが来たよ…」
夏休みが明けてからも、それなりに仕事がある奴もいれば、学校が始まった奴もいて、大学生はまだ夏休みだったり、それぞれだったけど、毎日交代で足を運べるやつが顔を出すことは続いていて。
仲のいいJr.の中では、合うタイミングでAに顔見せに行くことが、暗黙の了解になっていた。
“最近ジェスがきてくれないの…”なんて、さっきは俺がきて嬉しいって言ってくれたばかりなのに、寂しそうなA。
青「Rの収録で会ったら言っとく。まぁ、俺はしばらく暇だから、いつでも来てやれるし…寂しい思いはしなくて済むだろ？」
ちょっと皮肉ったかな…。
ほら…お前のことを、そんな苦しそうに笑わせてしまっているのは…他でもない俺。
この頃はうまくいかないことが多すぎて、どうにもならない現実と、俺がどんなに足掻いたって勝てないデカすぎる壁に、苦しささえ。
でも、そんなことAに言えるはずもない。
ただ、きっと察しのいいAはそれを分かってる。
「なぁ、樹…。あのさ…」
青「なぁに？」
「なにがあっても…樹は、樹やからね。樹は、樹。だからさ…大丈夫」
青「んー？どしたの、そんなこと言うなんて珍しい」
「Aは、樹が…好きだよ。“田中樹”が、大好きだよ。周りも、なにも関係ない」
その言葉で、俺も全てを悟ってしまった。
多分、Aには…もう俺が抱えているものも、迷いもなにもかも伝わってるんだと思う。
青「聞いたんだろ、兄貴のこと……」
兄貴のことをめちゃくちゃ慕って、俺が嫉妬するくらいに、本当の兄妹のように接してきたAと聖。
今のAに、俺の弱いところなんて見せたくなかったけど…これ以上、苦しいものなんて背負わせたくはなかったけど、俺も…限界で。
青「A、あのさ…。もしかして、俺も辞めたら……ごめんな」
「ふふっ。…ん、そっか。大丈夫だよ」
そんな弱虫な俺にさえ、Aは笑って、“それが樹の人生なら、それもいいと思う”って言ったんだ。
“大丈夫だからね”って…俺が大好きな笑顔を向けてくれたんだ。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます！！！ (2020年5月30日 11時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでと更新大変だと思います頑張ってください応援していますコロナウイルス流行ってるので気をつけてくださいね (2020年5月27日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年5月20日 22時
