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136話 ページ36

【北斗】

「ほくっ…」

黒「っと。大丈夫、大丈夫…。ちょっとヤバい?」

「ハァッ…きもち、悪い…っ」

黒「ん、いいよ。ここ支えてるから。大丈夫、大丈夫」


Aにとっての一大イベントだった、甲子園が終わってしまってから、どことなく変わったこと。

もう一度、俺がAに会いにくることが増えた。

と言うか、それは俺に限ったことではなくて。

あの一件を通して、今のAがどんな状況に置かれていて、頑張っているのかが知れ渡ったことで、俺たちJr.だけじゃなく、亀梨くんを筆頭に、先輩たちもよく顔を出してくれているとも聞いている。

マスコミの目を、俺たち自身があまり気にしないようになったことと、何より、事務所からの協力がかなり大きい。

ただ…Aの方は、術後の治療が始まってからどことなく元気がないのが、どうにも心配だった。

それまでが、怖いくらいに前向きだっただけに。


「ごめん…ほく…」

黒「謝るなよ。大丈夫だから」

「っ…ぅ……」


治療を再開してから、容赦なく襲ってくる副作用の吐き気や痛みに加えて、なかなか安定してくれない体温。

体調がなかなか安定しなくて、Aの小さな顔には不釣り合いなほど、大きな酸素マスク。

胸から延びるカラフルなコードも、そこに繋がる機械から発せられる無機質なリズムも、少し前に一度サヨナラしたばかりだったのに。


黒「しんどいな……」


あれからしばらく、接合部に怪我をしてしまったこともあって、Aは義足を付けることができなくなってしまったから、それも相まって気分が落ち込んでるのかも。

そうやって義足をつけない期間が少し空いてしまったことで、A自身、義足をつけることすらも、嫌になってしまったみたいだし。

勇人くん曰く、全てを受け入れて前向きに頑張っていたように思えたのは幻想で、ただ、Aは甲子園のために、必死だっただけだったようで。

だから、片足を失ってでも“生きる”ことを選択したってことも、リハビリを頑張って、目標のために義足で生きられるように頑張っていたことを、順調に受け入れたように…俺たちも錯覚してしまった。


“ちょっとは、Aが自分を受け入れてるのかなって”


本当にそう思ってたとはいえ、彼女に放ってしまった言葉を、後悔していた。

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かん。(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます!!! (2020年5月30日 11時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでと更新大変だと思います頑張ってください応援していますコロナウイルス流行ってるので気をつけてくださいね (2020年5月27日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かん。 | 作成日時:2020年5月20日 22時

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