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124話 ページ24

「…はよ。ごめん、片寄。起こしてほしい」

片寄「ん?あ、おけ」


いつもは病院の柵付きベッドだから気づかなかったけど、足以外の筋肉も相当落ちていて、布団から起き上がることさえも一苦労。

そんな体を、結局自分で立て直すことはできなくて、申し訳ないけど朝から仲間を頼るしかない。

それでも、嫌な顔ひとつせず、さも当たり前かのようにスムーズに手を貸してくれる片寄に、感謝しかない。

今日、久しぶりに、みんなの前で制服を着る。

これまでは毎日のように見てきた姿ではあるけれど、今までと違うのは、ただ私の片足が、義足だってこと。


「よしっ!準備完了!…おかしく、ない?」

数原「全然。普通にいつも通りやで?ほな…2年で円陣組もうや」

「…うん、組もう!」


数原と片寄に挟まれて円陣に入れば、ずっと会いたかった大好きな17人の同期。

他の学年と比べるとちょっと人数は少ないけど、どの代よりも絆は強いと思ってる。

ずっとずっと、離れている間も、この場所が恋しくて、この仲間たちに会いたくて、このメンバーで戦える夏だけを求めてきた数週間。

もう、顔を見るだけでも涙が込み上げそうだった。


数原「っしゃ!」

片寄「や、ここはAやろ!」

「…無理!緊張してるから無理!」


心臓が飛び出そうとはこのこと。

ただでさえ不安定な足元は緊張で震えてるし、心臓もバクバクしている。

それが、憧れ続けたその場所に立つことができる高揚感からくる緊張なのか、それとも…大勢の人の前で、マイノリティとなった自分の姿を見せることへの、少しばかりの恐怖に対する緊張なのか。

わからないけど…。


佐野「大丈夫。俺たちは、強い」

「よし。勝利は…もろたで!」

片寄「なんやそれ」


もろた。

みんなからのエネルギー。

期待も。

怖いけど、それでも、やるしかない。

真正面にいる佐野を見れば、真っ直ぐに見つめ返してくれる。

大丈夫。

できる。


「行こか」


ゆっくりしか歩けない私のペースに、何も言わずに合わせてくれるメンバー。

黙って荷物を手に取って、黙って段差を踏みはずはないように手を取ってくれて。

まるで、昔からそうだったのかと思うほどだった。

ロビーには先輩たちも集まってて、いよいよ本当に甲子園に行けるんだって実感が湧いていた。

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かん。(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます!!! (2020年5月30日 11時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでと更新大変だと思います頑張ってください応援していますコロナウイルス流行ってるので気をつけてくださいね (2020年5月27日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かん。 | 作成日時:2020年5月20日 22時

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