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122話 ページ22

正直、自分の中でリハビリはめちゃくちゃ頑張ったつもりなんだけど、そう思ったほど…満足いくほどは、上手に歩けるようにならなかった。

それでも、松葉杖ありなら行ってもいいよって言ってくれた先生の言葉に甘えて、わたしは今、甲子園にいる。

絶対に、ここへ…と、この一年目標にしてきた場所。

ただ、ここに辿り着きたくて、どうしたって諦められなくて…ずっとずっと、その一心で。


「来れちゃった…」

数原「A…!よかったな!」

「へへっ。ん…よかった、ちゃんと…ここ、おる」


わたしを迎えてくれてのは、60人の部員たち。

まだ上手には歩けないし、頑張って歩き過ぎたら、まだ慣れていないからすぐに足が痛くなるし、最悪歩くのさえ億劫になってしまうわけで。

リハビリをしてたって、そんなことを感じることもあったから、何度も不安になったし、本当にできるのかって思ったりもした。

でも、みんなの顔を見たら、そんな不安は全部どうでも良くなってしまった。

ここまできたら、やるしかないし…それに、これだけの仲間がそばにいてくれるんだから、できる気しかしなくて。


亜嵐「A、これ。…頼むな」

「えっ…!」

亜嵐「この甲子園、記録員は…坂本Aに任せる。これは、部員一同の総意だ」


亜嵐さんから渡されたのは、ケースが所々黒ずんで、土埃を何度も被り続けた、散々使い慣れたスコアブック。

中を開けば、そこに記されているのはバラバラの文字。

地区予選の間、みんなが交代で記録をつけてくれていたのがただの一眼見ただけで良くわかる。


大樹「待ってた…頼んだぞ」


ただこの場所に来られることさえ諦めかけていたのに、その上ベンチに入れるだなんて、記録員を任せてもらえるだなんて、夢にも思ってもいなかった。

ただでさえ、地区予選よりもベンチ入りできる人数の減る甲子園。

それなのに、そのひと枠を、記録員というポジションを、迷いなく任せてくれた部員たちから受け取ったスコアブックの重み。


「ありがとう…ございます……」

亜嵐「お前にしか、任せられないから。初戦、頼んだよ」


去年はスタンドから見た甲子園。

ベンチからの景色は、去年はずっと憧れだった葉月さんが見ていた景色。

どんな景色が見えるのか、ワクワクしてしかたなかった。

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かん。(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます!!! (2020年5月30日 11時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでと更新大変だと思います頑張ってください応援していますコロナウイルス流行ってるので気をつけてくださいね (2020年5月27日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かん。 | 作成日時:2020年5月20日 22時

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