103話 ページ3
【片寄】
『みんなは、元気してる？』
片寄「んー？元気やで…。今も、食堂で…うるせぇよっ！あ、ごめん…聞こえるやろ？」
『うん…マジでうるさいな、相変わらず…』
Aに電話がかけられるのは、あいつの治療の間と、俺らが自由に時間を使える週末夕方の限られた時間。
そんな中で、俺たちが真っ先に電話をかけるのは家族。
といっても、大事なマネージャー。
『大会の結果、いつも亜嵐さんが送ってくれてるから見とーよ。ふふっ、なんか、あれやね。みんな、急に成長してきてるんちゃう？』
片寄「お前なぁ〜…マジで暇な時に結果とかデータとか見てばっかじゃなくて…ちゃんと休めよ」
『んー？大丈夫。データとか、ビデオとかさ。全部暇つぶしよ、暇つぶし。暇つぶしに大好きな野球の…勉強っ、ケホケホッ…ｹﾎｹﾎｯ…』
片寄「ったく…。どこがどう大丈夫なんだよ…。おーい、いけるー？」
先週も電話はしたけど出なくて、あとになってから、しんどいから話せなくて電話出れん…なんて言ってたし…。
俺の知らないAばかりがいるみたいで、ちょっとだけ怖くなったりもして。
片寄「まぁ、でも今日は体調もマシな方やから、電話出たんやろ？」
『そーやで。今日は体調マシ。だってさっきご飯も食べたし。完食やで？』
片寄「なんそれ、子どもかよ」
『なんか、片寄、佐野みたい。辛辣、優しくない』
片寄「んなことないやろ。っていうか、このくらいのラフな態度のほうが、ええんちゃうのん？楽やろ」
わかってるよ。
仮にも1年間、朝から晩まで馬鹿みたいに一緒にいて、本当に家族のように過ごしてきた大切なマネージャー。
そんなAが、あの中の誰よりも周りのことを見てて、いっつも自分のことは後回しで、どんな時だって人のために動いてる。
後輩の面倒だけじゃなくて、世話のやける同期も、大好きな先輩たちにだって臆せず、何があってもチームのためだって頑張ってた。
でもAは、本当は根っからの末っ子気質で、気遣いな分すごく繊細で、ちょっとしたことだって傷つきやすくて泣き虫で、誰よりも甘えたがりなんだろ？
俺たちだって、もう2年目の付き合いだ。
それも軽い付き合いじゃない。
だから、いつになってもいい。
いつになってもいいから、絶対に帰ってきてほしい。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます！！！ (2020年5月30日 11時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでと更新大変だと思います頑張ってください応援していますコロナウイルス流行ってるので気をつけてくださいね (2020年5月27日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年5月20日 22時
