. ページ25
【慎太郎】
年が明けて、2023年。
リーダーになった俺の決意。
緑「A、ちょっといい？」
「ん…？」
新年一発目のコンサートを明日に控えたリハーサル。
俺がそんな風にAのこと呼び出したりすることなんてないから、ちょっと不安そうに俺の後ろをトコトコとついてくるA。
別に怒ったりするわけじゃないよって戯けてみせたらいいんだろうけど、生憎そこまでの軽い決意でもない。
だからこそ、俺も少しドキドキしていた。
緑「…ハハッ、見て？」
「なに…？」
緑「俺も、すっげぇ手震えてんの。…俺も、怖い」
「慎…」
緑「俺ね？今年…勝負したいんだよね。俺だけが、じゃなくて…SixTONESとして」
俺の言葉に耳傾けながら向けられる目は、どこか不安そうに揺れている。
決して、そうさせたいわけではないんだけどな…。
緑「…Aにも、勝負させたい。我慢とか、させたくないし、限界突破させて…あー…いや、させてあげたいは違うかもだけど。とにかく、やりたいこと全部やりたい。俺も、Aも、他のみんなも」
「…ん」
緑「絶対、我慢しないで。今年1年かけてさ、わがままでいることに慣れて欲しいんだよね」
「わがままに、慣れる…？」
緑「ん、そ。うまく行ったら、治療も終わる。やりたいことできるようになった時に、思いっきり“やりたい”って言えるように…練習…的な？」
「…ふふっ。慎、ありがと」
緑「うぉっ」
ぽんっと、珍しく俺に体を委ねるA。
そのAは、小さな声で“善処する”って。
緑「ん、ありがと」
「リーダー命令、やもんな」
緑「ふはっ！…今年だけでいい。今年だけでもそれができたら、きっと…Aはもっとこの仕事を、SixTONESを楽しめると思うから。だから…」
「…いっぱい、助けてな」
緑「当たり前じゃん！」
少し離れたところで俺たち2人のやりとりを聞いていた5人も、ニヤニヤと笑って俺にピースサイン。
Aにわがままさせたいのも、殻を破らせたいのも、俺の決意で俺たち6人の総意だった。
青「リーダー命令大作戦、うまくいった？」
緑「ふふっ。まっかせなさーい」
俺たちは、大丈夫。
7人でいれば、大丈夫。
他の誰よりも、俺たちは俺たちを信じていた。
だって今いるこの場所が、何よりも大切だったから。
-Fin-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 168人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かん。
| 作成日時：2024年3月17日 23時
