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【亀梨】
“よろしくお願いします”
直接会って伝えたいと言われ、事務所でそう言ってAから頭を下げられた冬の始まり。
ここ数ヶ月、いや…もう気づけばここ数年の話だろうか。
うちの事務所はかつてないほどに入れ替わりが激しくなっていて、安定なんてものはほとんど望めなくなっていた。
そんな中で、揺れ動きながらもAが下してくれた前向きな決断。
「今年も、より一層よろしくお願いします」
亀梨「ふふっ。なんだそれ」
「あ、和にぃ。これ勇人から」
亀梨「え、なになに。え！うわぁ、美味しそうなお肉〜」
「妹がお世話になります、だってさ」
この兄妹と、家族ぐるみの付き合いになって早十数年。
勇人もAも本当の弟、妹みたいで。
だからこそ、心配が尽きなかったりした時もあった。
まぁ、Aに関しては現在進行形だけど。
亀梨「あぁ、A買い出しついてきてね。お前、じゃないと食べれるもんみんなと違うから。好きなもん選びな」
「やった！お肉ぅ〜」
亀梨「肉はある！勇人のこれある！」
ケタケタ笑いながら、子どもみたくはしゃいでる姿を見れば、ここ数ヶ月のAへの心配も少しは吹き飛ぶ気がしていた。
今日も、夏のコンサートに向けて勉強してくるんだって、樹と松岡くんとJr.の帝劇公演を見に行っていたみたいで、Aなりに前に進もうとしている。
素直にこの子の背中を押してやりたいって思えるのは、そんな姿があるから。
正直、この子のためならどこまでも、なんだって…と、そんなことさえ思えてしまう。
「和にぃ？」
亀梨「ん？あぁ、ごめん。…そんな不安な顔しないでよ」
「えぇ？してないよ」
亀梨「そ？」
あの日、剛くんの挨拶を聞きながら俺の隣でボロボロ涙を流したA。
あの日からずっと、Aは自分の選んだ道を正解にすべく歩んでいるのをそばで見守ってきた身からすると、少しでもAが前を向く材料になれたのなら。
「おっ。和にぃ、インスタライブ準備できたって。ご飯もある程度できたって舘さんが」
亀梨「おぉ、マジ？んじゃ、そろそろ帰るか」
「あぁー！和にぃ、これ買って」
亀梨「ふふっ。ん、いいよ」
「やったぁ〜」
2023年。
俺にとっても、勝負の年だから。
この子を見てると、負けてられないなって。
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作者名：かん。
| 作成日時：2024年3月17日 23時
