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【�眞蓮�
グデーっと効果音でもつきそうな勢いでだだっ広い稽古場の床に大の字で倒れ込むA。
これが普段なら少しは恥じらいを持てだの、もう少し隅ので休めなどと口うるさく言ってしまうんだけど、Aはそんな言葉を聞き入れる余裕もなさそうで。
真っ赤な顔で、必死に胸を上下させる姿。
…本当は、止めたくて仕方がなかった。
黄「ゆっくり。大きく…」
「はぁっ…っ、はぁ…」
黄「ん、そう。いけてる、いけてる…」
「はっ…こ、ち…ﾊｧ」
黄「しゃべらない。呼吸、集中して？」
今回のツアーで一番の山場になる一番ハードなメドレー。
それなりに体力のある俺たちでさえ、正直ハードすぎて本番のアドレナリンがなきゃ諦めそうなほどの曲を目一杯詰め込んだ。
一度は諦めかけたそれを、物足りないと、らしくないと奮い立たせて元に戻した覚悟。
その覚悟を知っていて“やっぱりやめよう”なんて、口が裂けても言えなかった。
赤「やっぱやってた〜」
黄「あら、バレた？」
緑「てか、みんな知ってるからね？」
黄「だよな」
緑「Aー？このメドレー、慣れた？」
「…っ、まだ」
緑「ん、そっか。お疲れのところ申し訳ないんだけどさ、ちょっとどこがキツイか教えてくんない？メドレー自体変えなくても、カバーできるかもだし」
赤「俺も練習しよ〜。最近ジム行けてないし、体力づくりね！」
「ふふっ。はぁっ、今…きゅ、け。ﾊｯ…」
きっと、わざとガヤガヤとやかましく入ってきたであろううちの末っ子男子たち。
“まだ無理”なんてAが素直に吐き出せるのも、きっとそんなラフな空気のおかげで。
なんだかんだ、一番Aと同じ目線でぶつかれるのは昔からこの2人だったから。
「…っ」
黄「なぁんで泣くんだよ」
「んん〜っ、わからぁん…っ、ぅ」
黄「も〜。だから…息止めんなって」
「こぉち…っ、ぃ…っ」
黄「ん、大丈夫。誰もお前のこと怒ったりしてねえし、まして呆れてもない。まぁ、そりゃちょっと心配はしてるけどさ…」
緑「…んーねぇ」
黄「それでも俺らは、お前と一緒にいることも、お前が突っ走る隣にいることもやめないと思うよ」
「…ん」
まだその安心した横顔を継続させることはできないけど…一瞬だって、少しでも安心してくれるなら、今はそれで。
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作者名：かん。
| 作成日時：2024年3月17日 23時
