君よ、幸せであれ ページ16
【大我】
コロナでメンバーと会えなかった間にあった話は�眞呂�ら聞いた。
メンバーでさえ驚くくらいにAが大泣きしたことも、Aがほんの少しだけ、彼らについていきたいと思ったことも。
ただ、それがSixTONESを抜けるとか、俺たちから離れるだとかいうこととは決してイコールにならないところが、なんともAらしくて。
だからこそ、やっぱりこの子の手だけは離しちゃいけないと強く思った。
「大我、おかえりぃ」
桃「ん、ただいま。ごめんね…色々大変だったでしょ、俺がいない間」
「んへへっ。んー、すっごく大変やった」
桃「…おいで、A」
「…っ、ん」
桃「ごめんね。不安だったよね」
たぶん、Aの心に拍車をかけてしまったのは俺のダウン。
もちろん仕方のないことくらいAだって分かってるはずだけど、うまく心のコントロールが効かない今のAにとっては…それこそ仕方のないことだから。
ちょこんと隣に座ったAは、それでもよく頑張ってる方だと思う俺たちは甘すぎるだろうか。
桃「ふふっ。なにぃ？」
「んーん…。なんか、安心するから」
桃「俺でぇ？珍しい」
「だって、大我おらんかったもん…」
桃「大丈夫。いなくなったりしないよ。…って言っても、不安なんだもんね」
「…ごめ…っ」
Aが謝ることなんてひとつもないし、むしろ不安にさせた俺の方こそごめんではあるんだけど。
震える背中が、切なかった。
どうしたらAを安心させてやれるのかが、皆目見当もつかなかった。
桃「Aー？」
「…ん？」
桃「…多分さ、すごく不安だと思うの。滝沢くんがいなくなって、キンプリもあんなことになって…世間は、あることないこと適当言うしね」
「…まぁ、そ…ね」
桃「ハハッ！珍しく素直。…あぁ、んでね？…それでも、いや…だからこそ、か。俺たちは俺たちを信じるしかないんだと思う」
そりゃそうなんだけど…とでも言いたげな顔でこちらを見上げるA。
その目は、まだ随分と不安そうだったから…。
桃「不安になったら、いつでも俺たちは変わらない言葉を伝える。Aが大丈夫になるまで、何度も何度も、飽きるまで“大丈夫”って伝える。だからね、A」
“不安になっても、いいよ”
俺には、自信があったんだ。
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作者名：かん。
| 作成日時：2024年3月17日 23時
