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【北斗】
“A、しんどいんじゃない？明日にしようよ”
いつものように、そう言って笑うジェシーはいなかった。
代わりに、真っ直ぐ真剣な目をAから逸らさない彼。
Aは、そんな彼の前で大声をあげて泣いていた。
見る人が見れば、カオスなこの楽屋の風景。
でも俺たちは、そんな光景にどこか安心をしていたんだ。
“悔しい”
“そんな風に思われてしまうことが情けない”
そんな言葉を並べたAからの、たったひとつの俺たちも知らなかった言葉。
「…連れてってって、置いていかないでって…そう思ってまった自分が、一番っ、許せなかった」
赤「ん…」
「でもっ…でも、ねっ…っ」
赤「…ゆっくりでいいよ、A。誰も、いなくならないから」
そっと震えるAの手に自分の手を重ねる樹。
それでも言葉は全てジェシーに託しているのを見れば、きっと樹がそうしてくれと頼んだんだろうということは、これだけ長く付き合ってればすぐに分かった。
「…っ。悲しくて、寂しくて…Aもって、思ったりもしたけど…。でも、SixTONESを離れるのは…もっと、嫌やった。そんなの、考えられへんかった…。やっぱり…何回、考えてもっ…考え、たどり着くところ、同じで…っ」
“他の誰と離れても…何度考えても、6人とだけは…離れたくなかった”
あの日Aと一緒に帰った�眞呂�、翌日ドッと安堵したように教えてくれたのと同じ言葉だった。
赤「それが、Aの答えだね？」
「…Aの、答え」
赤「…7人で、いるってこと」
コクっと、小さく頷いたA。
ゆっくりと俯いた顔をあげて、見守る俺たちの顔を一人ひとりゆっくりと見渡して…彼女はもう一度、強く頷いた。
赤「それなら、俺たちと同じ。離れたくもないし、離す気もない。誰がなんと言っても、世間の誰が俺たちを疑っても、俺たちが、誰より俺たちを信じてるから」
「…っ」
赤「もっと、ちゃんと話そう？俺たちは、Aのどんな言葉でも受け止めるし…Aが決断したいときは、一緒に考える。それがたとえ…“辞めたい”って話でも」
あえて“辞めたい”って言葉をド直球で伝えたジェシー。
いつの間に、またひとつ戻ってしまったAのピアスホールに…俺たちはこの時、ようやく気づくことができたんだ。
-Fin-
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作者名：かん。
| 作成日時：2024年3月17日 23時
