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久しぶりの、外出。
初めての、デート。
ちょっぴり、緊張はしてた。
でも、なにも不安なんてなくて。
思った以上にいつも通りでいてくれた めぐ先輩…いや、蓮くんに、すごく安心をした。
いや…いつも通りでは、ないか。
目黒「手、つな…ぐ？」
「手…つな、ぐ」
目黒「うわっ、やばっ。あぁ〜…」
「へへっ。冷たいですね、手」
目黒「あ、敬語」
「うっ、わぁ〜…。ズルい」
目黒「なにがー？」
「だって、蓮くんは元々“A”だし、敬語も使ってないし。Aだけ不利だよ〜…」
目黒「ハハッ！それは、仕方なーい」
“…
いつだったか…病室でにぃにと2人、思いのままに話した夢。
それなりに叶っている今が、幸せだった。
目黒「なに食べたい？」
「んー…揚げ物？」
目黒「ガッツリ」
「だって病院であんまり出ないからさぁ…」
目黒「あぁ、確かに。それもそっか。じゃぁ、入院中食べたかったもの、全部食べよ」
「全部！？」
目黒「あぁ、今日だけじゃないよ？次も、その次も。Aが入院中に食べたかったもの食べて、やりたかったことして…それが全部終わったら、新しくやりたいこと、いっぱいしよう」
「…っ、やば。泣きそう」
あまり多くを語らない人だった。
今だって、恥ずかしそうに目を逸らしてるのを見れば、きっと頑張って言葉にしてくれたのはあまりに明確で。
自分のために蓮くんがここまでしてくれることが、嬉しくて仕方なかった。
目黒「ここにしよっか。美味しそう。あ、ちょっと並ぶけど…」
「全然大丈夫！」
目黒「あ、俺並んでおくし…打ってくる？」
「あー…そうだね、そうする。ありがとう」
1型のことも、学生の頃から見てるからきちんと理解してくれてるのが、ありがたい限り。
家族と出かける時と、なんら変わらず食事前のインスリンを打ちに行けることに、少し驚いてるくらい。
「…うわぁ、だよね」
表示された数字に少し嫌気は刺しつつも、慣れたもの。
カチカチとメモリを調節を…。
するだけなのに…うまく、できなかった。
“ちょっと〜。いつまで入ってるんですか？”
そんな、大きな声に焦って。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年11月30日 20時
