Just call my name, when you need me【短編集】11 (ページ5)

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【北斗】

目が覚めると、なんだかお腹の辺りが重たかった。

ズシっと重たいその正体は…。

黒「ゆ…ご…？」

黄「…ん」

黒「ゆーご…」

黄「んっ…。ぁ…北斗…？あ！北斗っ！大丈夫か？しんどいとこ、ないか？」

黒「…うん、たぶん」

突然立ち上がって焦った顔した優吾が、俺の曖昧な返事を聞いて、へなへなと座り込む姿を見ると、割とやらかしてしまったんだろうってことは察した。

無理していた自覚なんて、ないはずなかった。

むしろ、自覚して無理をしていたわけだし…どこかで、こうなってしまえばいいと思っていた自分がいた。

無理して、壊れて…そうなれば、俺にも目、向くかな…とかさ。

黄「ごめんな、北斗。みんなして、Aに向いちゃってて…」

黒「っ…」

黄「…分かってたのに、ごめん」

こんなわがままな無茶を、優吾が分かってくれてたことにあまりに驚いて。

あまりに自分勝手な無茶をした自分が情けなくて、でも、やっぱり自分に目を向けてもらえたことには安心をして…気づけば、涙が止まらなかった。

溢れる涙を、我慢することはなかった。

優吾が、ものすごく優しい笑顔で受け止めてくれてから。

黄「全部、ぶつけていいよ。…A、いないし。ま…樹じゃなくてごめんだけど」

黒「…んっ」

黄「いっぱい、我慢させてたよな。…ごめんな、こんなになるまで。体も…心も、北斗だって限界だったよな」

黒「っ…ごめっ…」

黄「なーんで謝んだよ」

黒「…っ、俺っ…もう、高校生、なのに…っ、それにっ…俺、俺…Aの…兄ちゃん、だから…」

全部吐き出していいんだよって、珍しく俺のことを抱きしめて、俺と同じかそれ以上に涙を流す優吾の胸があったかくて。

そのあったかさが妙に嬉しくて、最初はうだうだと自分が無茶した理由を言い訳のように並べ続けたけど…そんな言い訳必要ないかなって。

黒「…俺、しんどかった」

Aに嫉妬したとか、そんなんじゃない。

そんなんじゃないけど…なんか、しんどかったんだ。

しんどくて、苦しくて…怖くて、寂しくて…。

もう二度とこんな無茶しないとは思うけど…それでも、受け止めて欲しくて。

久しぶりに飛び込んだ優吾の胸の温かさに、いつの間にかまた眠りについていたんだ。

今度は、ゆっくりと穏やかに。

-Fin-