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【樹】
大好きで、今一番楽しくて仕方のないスイミングをお休みさせられたもんだから、もう不機嫌極まりないったらありゃしない。
多少の不調ならまだしも、今日はあんまり良くない時の感じっていうか、親の勘というか。
何もないなら、それでいいけど。
「けほっ、ｹﾎｹﾎｯ…うぇっ…」
青「っと！」
深澤「吐いた！？」
青「いや、嘔吐いてるだけで吐いてはない。A、気持ち悪いー？」
「ん…っ」
深澤「不機嫌ねぇ〜…。樹、ついててやって。家のことも事務所のことも、俺らでなんとかするし」
そんな師匠のお言葉に甘えて、今日はもう早めにAの部屋に篭ってしまおうかと。
北斗は空手行って帰ってくるから、鉢合わせたらスイミング行けなかったAがまたグズグズするかもだし。
黄「結構グズグズ？」
青「んー…久々だしね。この感じ一番ダルいんだと思う」
黄「…続いちゃうかな」
青「どうかな。一応先生には連絡入れてる」
病院に行くほどではないけど、普段みたいに身体の自由の効かない感じ。
Aが一番嫌いなパターン。
兄貴もそれをよくわかってるから、若干の苦笑い。
黄「明日俺休みだし、もしA学校休ませるんだったら朝のうち病院連れて行こうか？まぁ、樹べったりになっちゃったら厳しいけど」
青「助かる。とりあえず、明日しょっぴーが一回様子見に来てくれるって言ってたから…それ次第かな」
黄「ま、なんともなきゃ…それが一番いいもんな」
「ゅーごぉ…」
黄「あらら、起きちゃった？」
だいぶグズグズしてて抱っこでしか寝ないもんだから、眠りも浅かったんだろう。
モゾモゾと動く気配がしたかと思えば、ぼんやりと目を覚まして兄貴の方へ行こうとするも、普段と比べればふらふらと危なっかしい足取り。
明日の学校も行けないだろうな、なんて。
ひとまず俺じゃなきゃダメ、みたいな状態じゃなかっただけ安心だけど、明日になればどうかもわからない。
青「ごめん、俺シャワーだけ浴びてくるわ」
黄「おう、ごゆっくり」
このところは体調が落ち着いていたし、水泳にも力を入れられるようになっていたA。
ちょっと嫌な予感がしているこの段階で病院に連れて行くべきか…。
まずはとにかく、何事もなく朝を迎えられることを願うばかりだった。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年11月30日 20時
