危機一髪 ページ36
【阿部】
「ただーいまぁ」
青「おーいー、こっちから帰ってくんなって…」
阿部「ふふっ。おかえり、A」
「あべちゃ…」
阿部「あれれ」
小学校から帰ってきたA。
いつもは俺たちに構ってほしくて事務所の入り口から帰ってきては樹に叱られてるから、今日もそんなことだろうと思いながらお出迎えすれば、普段とちょっと様子が違う。
なんとなくぼんやりしているというか、ふわふわした感じっていうか。
樹もすぐにそれに気づいたみたいで、事務所は一気にバタバタと緊張が走る。
青「どした？気持ち悪い？」
「…ん」
深澤「Aー？そこで寝ないで〜」
阿部「低血糖っぽい？ちょっと測ってみよっか…」
青「ごめん、ありがと。…熱はないもんな」
阿部「ごめんよ〜、おてて貸してね。…よっ」
深澤「あ〜…。アウトだな」
慌てて血糖を測れば、思っていた通りに低血糖起こしていて。
大方、思うように給食が食べられなかったか…もしくは、休み時間だとか体育だとか、ちょっと運動量のバランスが取れなかったか…。
小学校に上がってからは、学校と協力をしながら極力A自身が自分の力でコントロールをできるように練習してきて、この一年でだいぶ適応はしてきたけど、今もまだ時々こういったことは起こるわけ。
俺たちもヒヤヒヤしないわけじゃないけど、あまり過保護にしすぎてもAのためにはならないから、いつでも助けられる体制だけ整えて見守っている。
阿部「どう？落ち着きそう？」
青「うん、大丈夫。ちゃんと上がってきてる」
「パパ…っ」
青「ん、だーいじょぶ。ちょっとビックリしたな」
「…ん」
深澤「そんな忙しくないし、A連れてってもいいし、逆にAここいてもいいし。ま、Aがしんどくない方にしてあげな」
しんどかったなって呟きながらAの頭をそっと撫でるふっかも、グッと眉を下げて心配顔。
低血糖はしばらくぶり。
しかもAは一度低血糖起こしちゃうとしばらく続いちゃうことも多いから、余計に心配で。
青「スイミングはお休みしよっか」
「行きたぁい…」
青「ダメ、今日は我慢。な？」
「んんっ…」
最近メキメキと上達をしているAのスイミング。
体調も安定して思うように通えてたところにこれは、堪えるかもなぁ…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 419人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かん。
| 作成日時：2023年11月30日 20時
