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【樹】
北斗のお兄さんブームから数ヶ月。
お兄さんのほっくんは、年少さんから年中さんにステップアップして、さらに加速をしているところ。
なんだけど…ちょっとばかり母親への甘えたが目立つようになった頃だった。
『2人目、できた』
青「おっ…？」
『赤ちゃん、2人目』
青「え！っ、マジィっ！？」
『ふふっ。ん、できた。ほっくん、本当のお兄ちゃんになるみたい』
2人目を望みながらも、ちぃの体のこともあって高望みはしていなかったから、そんな報告には素直に喜びが大きかった。
俺自身、なんだかんだ兄弟の存在には昔から助けられてばかりだったし、ちぃもちぃで、兄弟という存在に憧れがあったから、今回のことは喜びでしかない。
けど…。
『ほっくん、急に甘えたさんだったのはこのお達しだったのかもしれないね』
青「あぁ〜…ありえるかもな、それは」
『赤ちゃんばっかりにならないようにしなきゃね。ほっくんのことだって、赤ちゃんのことだって、どちらも私たちの大事な子どもに変わりはないんだから』
青「ふふっ。ん、当たり前。まぁ、あとはいつどうやって北斗に伝えるかだよなぁ…。4歳なぁ…」
ワンステップアップした年中さんとはいえ、まだママにもパパにも甘えたい盛りの4歳児。
理解こそできていないんだろうけど、心では何かを察している北斗に、どんな言葉で伝えたら上手にわかってもらえるのか…。
こういうところかは、もうお兄ちゃんになる時間って始まってんだろうなぁ、なんて呑気に思っていた。
青「ま、でもまずは…おめでとう、ちぃ。んで…ありがとうな」
『ふふっ。樹くんも、おめでとう。こちらこそ、ありがとうね』
青「…ふふっ。なぁんだよ」
『えー？なんもないよ〜。…へへっ、なんか…すっごく嬉しいねぇ。4人で、いっぱい笑おうね』
青「…ん、そだな」
新しい生命の芽生えと、大切な息子との距離感。
この日から少しだけ、“ほっくん、お兄さんだから！”なんて誇らしげな北斗の姿が苦しく思えたりして。
でも北斗の頑張りは素直に嬉しくて、やっぱり誇らしげに笑う息子の成長は頼もしくて、そんな姿を見るのが幸せだった。
青「すげぇよ、北斗。もう立派なお兄さんだ！」
「ふふっ。ほっくん、お兄さん！」
それが、良かったのか…悪かったのか。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年11月30日 20時
