Just call my name, when you need me【短編集】11 (ページ27)

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【深澤】

仕事終えて飯食っていつも通りに部屋でゲームしてた時に控えめに聞こえたノック。

Aがまた甘やかしてもらいにでもきたかな〜なんてドアを開ければ、そこにいたのはAではなく北斗だったから俺もびっくりしちゃって。

深澤「どうしたよ、珍しい」

黒「ｹﾎｯ…なんか、咳…出る…ｹﾎｯ」

深澤「それお前さ、間違っても俺の部屋じゃなくね？来るところ」

黒「いや…なんか…ｹﾎｯ、今日は深澤くんとこの気分」

深澤「なんだそれ」

そんな感じのよくわからない理屈を並べて部屋に入ってきた北斗は、別になにするでもなく、グデーッとケータイいじりながら寝転んだり。

そのうちちょっと咳も酷くなってきたもんだから、早めに寝るようにベッドに移動させたり。

そうこうしてるうちに樹にはバレてるんだけど、熱があるわけでもなく、咳はお茶飲ませたらある程度落ち着くし、さほど心配はないのかと思ったり。

黒「俺、今日このままここで寝ていい？」

深澤「…仕方ねぇなぁ〜」

黒「あぁ、布団持って…」

深澤「いいよ、俺適当にあとで布団持ってくるし。ベッド使え。下、ホコリ吸いそうだしお前」

黒「…え」

深澤「バカちん、掃除はしてるよ？万が一があるでしょうよ、万が一が」

黒「あぁ…」

Aと過ごすのとはまた違った、ゆったりと、なにを気にすることもなくただ流れる時間。

北斗と過ごす時間は、案外俺も好きな時間だったりする。

けど、さすがにちょっと今日は心配の方が勝っちゃうかなぁ…。

黒「ｹﾎｯ……ｽｰｯ…ｺﾎｯ、ｹﾎｯ…」

深澤「…ったく」

ちょこんとはみ出す長い手足に、いつの間に北斗もこんなにでっかくなっちゃって…なんて、自分も年を取ったのを実感していた。

それでも、ケホケホと咳き込みながら布団の端をキュッと掴むのも、こうしてあまりハッキリと“しんどい”とは言わずとも最後には甘えてきてくれるところなんか、昔のままだな、なんて。

黄「ごめん、ふっか。これ、北斗に」

深澤「ん？あー…」

黄「遅かったか。寝ちゃったよな」

深澤「んー…ま、しんどそうだったら起こして使うわ」

黄「悪いね」

優吾も、北斗でもふっかんとこ来たりすんだねなんて。

みんなが、ほんの少しこの珍しさに“なにかあるんじゃないか”と思い始めていた。