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【慎太郎】
ここ数日、夜中になるギリギリまでピカピカと光り続けるケータイ。
まぁ、いい頃合いの時間で“おやすみ、ありがとう”なんて向こうからメッセージを終わらせてくるもんだから、きっとその辺りは若干厳しめに管理されてんだろうけど。
緑「ほーい、机の上片付けろよ〜。はい、全部カバンにしまってー。机の中、もう一回各自確認すること〜」
自分とこの生徒の監督しながら、どうせ部活もなくこんな時くらい早く帰ることも推奨されてるわけだから、なる早で帰って田中家に寄ってやろうかと組み立てる予定。
きっとあいつも早く帰ってくるし、早めに始めれば、今日こそは早めに寝れるだろうし…とかね。
あとは、俺の食事も助かるわけで。
緑「おっ。はーい、そこまで。んじゃ、後ろから回答用紙集めて〜。ほーら、佐藤、手止めて。そんな足掻いたって変わらんから」
えーだのあーだの言葉にならない声の飛び交う教室をあとにすれば、職員室もどこか普段よりは忙しなさが落ち着いているような気がした。
“今日早く帰れるから、樹ん家寄るわ!”
さすがに突然押しかけるのは、もうこの歳になると多少申し訳なくて、樹にそんなメッセージを送っておけば、珍しく即レス。
“超助かる”
“今日俺ら現場出てて北斗一人なのよ”
なんてメッセージが来たかと思えばそのまま鳴る電話。
青『あ、悪りぃ慎太郎。まじで今日寄ってくれんの?』
緑「うん。まぁ、ゆーて夕方にはなるけど」
青『いや、マジ助かる。ちょっとトラブっててさ。夜まで帰れそうにねぇんだよ。兄貴も今日元々遅くなる予定だったからさ…』
緑「あ、マジか。なら俺、Aの学童も迎え行くわ。連絡だけ入れといてくんね?」
青『ありがと、マジ助かるわ!』
期待した飯はむしろ俺が作ることになりそうだけど、まぁそれはそれでいいでしょう。
A、俺が迎え行ったらびっくりするかなぁ〜なんて思いながら、久々に定時ビタで上がって気分上々の帰路。
「えー!慎ちゃんだぁっ!」
緑「ふふっ。お迎えきたよ、帰ろっか」
小さな手を取って、助手席の楽しそうな近況報告をBGMに、慣れた手つきで合鍵を回す。
と、やけに静かな家に背筋が凍った。
緑「っ!北斗っ!」
「にぃ、に…っ」
青い顔して倒れてる北斗見たら…余計に。
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作者名:かん。 | 作成日時:2023年11月30日 20時