救世主 ページ21
【樹】
「とうっ！んあぁ〜っ！もぉー！」
青「ちょーっと、ゲームうるさくするのやめて〜。大きい声出してやるなら、ふっかの部屋行って？にぃに、隣のお部屋で勉強してるから」
「え〜、だってふっかの部屋嫌だもん」
青「んじゃもうちょい静かに遊ぶ。な？」
「はぁーい…」
中学校1年生の兄と、小学校2年生の妹。
歳の離れた兄妹って、いいこともあれば、難しいところも多くて。
テスト期間の北斗が勉強に集中したいことも分からんではないけど、Aだってまだ遊びたい盛りだから、大人しくしててね、と言ったところで限界はあるもんで。
ゲームなら…と思って、俺がもう何年もハマってるゲームを教え込んでみたりもするけど、これが予想外に熱中しちゃったりさ。
と、いうのものっぴきならない事情があり。
黄「なに？北斗、また今日も根詰めてんの？」
青「そ。…まぁ、ある程度のとこで止めるつもりだけど」
黄「そこまでする？前の時そんなんじゃなかったじゃん」
青「そんなんじゃなかったからです。前回、セーブして成績ガタ落ちしたこと、気にしてるらしい。俺からしたら全然いい成績だけどな」
誰に似たんだか、学校の成績は、そこそこどころか相当いいところを取っている北斗。
それが、中学入って3度目のテストで大コケ。
別に勉強をしてなかったわけじゃないし、いつも通りに勉強時間もとって、しっかり集中もしていた。
でも、本人にとっては“いつも通りやったのに…”って気持ちが大きいみたいで、それならいつも以上に、なんて考えた結果が今回のこれ。
まぁ〜家ん中はピリピリしてるわけ。
「優吾〜、コンビニ行こぉ」
黄「え、どうした急に」
青「あ〜…北斗のこと心配でさ。A、スイミングの帰り寄らずに帰ってきたのよ。ごめん、これでアイス買ってやってくんない？」
黄「ばーか。Aー？行くか〜。そのままちょっとドライブしてくるわ。北斗、キリつきそうになったら連絡して？」
青「助かる、さんきゅ」
こんな時に限って、我が家の頭脳である阿部ちゃんは遠方に出張だし、師匠は大型案件抱えてて忙しすぎる時期。
せめて、兄貴がいてくれたことがありがたいのなんの。
青「北斗ー？おにぎり、食べない？」
黒「…置いといて」
ま…いいとこ、あと1時間だわな。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年11月30日 20時
