Just call my name, when you need me【短編集】11 (ページ19)

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【優吾】

黒「ﾊｧｯ、おと…さ…っ、ﾋｯ…やだっ、ﾊｯﾊｧｯ…」

黄「北斗！っ、ほーくと？だーいじょぶだから…。ね、大丈夫だよ。ビックリしたな」

黒「ﾊｧｯ、ﾊｧｯ…ﾊｯ、ﾋｭｩ…ﾊｧｯ、ん…っ、ﾊｧｯ、ﾋｯ」

久しぶりに子どもたちと会えたから少し無理をしていたのか、もうあと少ししたら帰ろうかと思っていた頃、樹の発作が起きた。

本当は今日も調子悪かったのかな…とか、ちゃんと樹の返事を待ってから来ればよかった…とか気を取られていた中だった。

ガシャンとパイプ椅子が倒れた音がして振り向けば、そこには苦しそうに息を荒げる北斗。

黒「ﾝｯ、ﾊｯﾊｧｯ、ﾝｯﾊｧｯﾊｯ…ぉと、さ…っ、ﾊｯﾊｧｯ…ﾝｯ、ﾊｧ」

黄「北斗〜？俺の声、聞こえる？」

黒「や、っ…ﾊｯﾊｧｯ…っ」

菊池「…聞こえてないかもなぁ。完全にパニック。一回外出るか、北斗、ちょっと抱っこごめんなぁ」

黒「ﾊｯﾊｧｯ…ﾝｯ、と、さ…ﾋｭｩ、ゃ…っ」

“お父さん、死んじゃう…”
“いなくなっちゃ、やだよ…”

ヒィヒィと早すぎる呼吸を繰り返しながら、そんな言葉を繰り返す北斗の声に、何も気の利いた言葉を返してやることができなくて。

ただ…胸が張り裂けそうだった。

黄「北斗〜…しんどいな…」

黒「…っ！」

黄「…っと」

黒「…ゅ、ご…っ、ゆーご、っ」

黄「だーいじょぶ、大丈夫」

黒「ﾊｯ、ゆーごっ、ﾊｧ…おとーさん、とこっ、ﾊｧｯ…おとーさん、っ、ﾊｯ…」

不安と恐怖とでいっぱいになった北斗の頭には、呼吸の仕方だとか考えている余裕なんてなさそうで、ヒィヒィと激しく肩を震わせる北斗は、一向に苦しそうな表情が弛まない。

何度も譫言のように両親を呼ぶ北斗の儚い声が…あまりに苦しかった。

こんなにも儚く頼りないのに、ギュウギュウと必死に俺にしがみついてくる力だけが、ビックリするくらいに強いことも、また…。

黄「大丈夫、大丈夫。ね…ゆっくり、ふーってしよ。…大丈夫…父ちゃん、元気になるから」

「ﾊｧｯ…おとー、さん…っ、ﾊｯ…おとーさ、っ、ﾋｭ…」

黄「ん…怖かったな…」

これで治まんなきゃ、宮舘先生呼んでもらおうかと思った頃、ようやくほんの少しだけ落ち着いた北斗の引き攣った呼吸。

それでもまだ、苦しい表情は弛まぬままだった。