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【樹】
“2人連れて行くね”
夜中に調子悪くて寝つけなくて、身体もダルいまま。
昼前にようやく目が覚めれば、兄貴からそんな連絡。
菊池「うぃ」
青「あれ…」
菊池「ん？」
青「いや…兄貴かと思ったから」
菊池「おぉ、ってことはチビたち来んの？ラッキー」
特に連絡もないままにフラッと見舞いに来てくれた風磨。
子どもたちが来るならと、少し気合を入れていたけど…ガキの頃から俺の弱いとこも全部知り尽くしてる風磨には、もちろんそんなのバレバレで。
“そんな無理した状態でチビたちに会うのかー？”なんて。
青「会うつもり…なかったんだよね」
菊池「えっ…？」
青「…起きたら、もう向かってるみたいだから。多分…もう、子どもたちも限界なんじゃないかなって。断り、切れなかったって感じ」
菊池「…なるほどな」
青「…あんさ、助けてもらっていい…？」
菊池「…ふふっ。当たり前」
“ちょっとは人のこと頼れるようになったやん”って笑う風磨に、今は少し甘えていたかった。
きっと、たかが数時間が限界かも知んないけど…何度も何度も繰り返した“ごめん”の分を、取り返したかった。
黒「おとーさんっ！」
青「ふはっ！あぶねぇよ、北斗〜」
黄「…ごめん、返事…待った方が良かったね」
青「んーん、大丈夫。ありがとね、2人のこと連れてきてくれて」
別に何ヶ月と会ってなかったわけじゃないのに、たった数日会えなかっただけなのに、なんだか随分と離れていたように感じる。
寂しかったのは、俺も同じなわけで。
会えなかった数日、あんなことがあった、こんなことがあったと、楽しそうにおしゃべりの止まらない北斗や、キュッキュッと小さな手で俺の手を何度も握るAを見ていられるだけで、それだけで幸せだった。
特に、北斗はちぃが亡くなってしばらく…色んなことがあったから。
ただ、一緒に過ごせているだけでよかったのに…それさえも、許されないのだろうか…。
黄「…樹？」
青「…わり、っ…ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ、ｹﾎｯ…ﾊｯ､ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ、っ…ﾋｭｩ、ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ…」
黒「…っ！」
青「ﾊｧｯ、ﾊｯ…ほく、っ…ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ…」
菊池「バカ、喋んな…」
かろうじて記憶の端にあるのは…パニックを起こして兄貴に宥められる、北斗の姿だった。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年11月30日 20時
